研究課題/領域番号 |
23580072
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
園田 昌司 岡山大学, 資源植物科学研究所, 准教授 (00325127)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | コナガ / 殺虫剤抵抗性 / ピレスロイド剤 / 有機リン剤 / ナトリウムチャネル / アセチルコリンエステラーゼ |
研究概要 |
コナガのピレスロイド剤抵抗性にはナトリウムチャネルにおける3つのアミノ酸変異(L1014F、T929I、M918I)が関与していることがイギリスおよび申請者らの研究により明らかにされている。しかしながら、野外のコナガにおけるこれらのアミノ酸変異の頻度が国際的に解析されたことはなかった。日本、中国、タイにおいて野外よりコナガを採集し、3つのアミノ酸変異の頻度を調査した。その結果、L1014Fの中国、タイ、日本における頻度はそれぞれ、89-100%、97-100%、65-85%であった。T929Iの頻度に関してはそれぞれ、86-100%、70-97%、58-84%であった。中国、日本におけるM918Iの頻度は最高で27%と低かったが、タイにおいてはM918Iを持つ個体が見つからなかった。M918IとL1014Fをホモにもつ系統を確立し、ピレスロイド剤に対する抵抗性レベルを調べた。この系統は、ナトリウムチャネル遺伝子のエキソン18aの3'領域、イントロン18、エキソン18bの5'領域を欠いているが、T929IとL1014Fをホモに持つ系統と同等のピレスロイド剤に対する抵抗性を示した。本研究の成果の一部は、国際誌Pesticide Biochemistry and Physiologyに掲載された。 コナガの有機リン剤抵抗性にはアセチルコリンエステラーゼ1(AChE1)のアミノ酸変異(A298S、G324A)が関与していることが報告されている。コナガの室内系統はAChE1遺伝子を1コピー持っているが、野外には複数のコピーを持つ個体が存在していることが示唆された。 複数の殺虫剤に対して抵抗性を示す系統(複合抵抗性系統)と感受性系統を用いて、サブトラクション法を行い、前者において高い発現を示す遺伝子を複数得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.コナガのピレスロイド剤抵抗性に関わる研究成果の一部が国際誌Pesticide Biochemistry and Physiologyに掲載された。2.野外にはAChE1遺伝子を複数コピー持つ個体が存在する可能性を見出した。このような報告は昆虫ではほとんど知られていない。3.複合抵抗性系統において高い発現を示す複数の遺伝子をサブトラクション法を用いて得ることができた。これらの中には殺虫剤抵抗性に関わる新規遺伝子が含まれているかもしれない。
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今後の研究の推進方策 |
AChE1遺伝子を複数コピー持つ個体が野外において存在する可能性はリアルタイムPCRによって示唆された。この結果の信頼性をさらに高めるために、複数のAChE1遺伝子を持つと考えられる個体のゲノムDNAを増幅し、サザンブロット解析等を行う。また、AChE1遺伝子のコピー数が有機リン剤抵抗性に関わっているのかどうか、関わっているとすればどのような様式で関与しているのかを明らかにしていく予定である。 サブトラクション法を用いて得られた複合抵抗性系統において高い発現を示す複数の遺伝子の解析を進める。データベース等を利用した機能の推定、遺伝子発現解析を進め、得られた遺伝子の殺虫剤抵抗性への関与を検討する予定である。抵抗性への関与が示唆される遺伝子については、RNAi等の手法を用いた実証試験が必要となる。コナガに有効なRNAiの手法の開発も進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費として、昆虫の飼育用植物(種子および栽培関連資材)、遺伝子解析キット類、PCR用プライマー、殺虫剤等の購入を予定している。昆虫の飼育等の補助要員として研究支援者の雇用を予定している。研究成果を国際昆虫学会(2012年8月、韓国テグ)で発表するための旅費を計上する予定である。
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