研究課題/領域番号 |
23580072
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
園田 昌司 岡山大学, 資源植物科学研究所, 准教授 (00325127)
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キーワード | コナガ / 殺虫剤抵抗性 / 有機リン剤 / アセチルコリンエステラーゼ / 遺伝子重複 / RNA editing / RNA variegation |
研究概要 |
コナガの有機リン剤抵抗性には標的であるアセチルコリンエステラーゼ1(AChE1)におけるアミノ酸変異(A298SおよびG324A)が関与していることが明らかにされている。室内および野外のコナガ系統における両アミノ酸変異の頻度を個体ごとにダイレクトシーケンシングにより調べようとしたが、不可能であることが判明した。その理由は、ヘテロ個体における不釣合いなシグナルピークの出現であった。不釣合いなシグナルピーク出現の原因を明らかにするために、AChE1遺伝子のコピー数をqPCRやゲノムクローニングにより調べた。その結果、コナガでは室内系統のみならず野外系統においてもAChE1遺伝子が重複していることが明らかとなった。多くの野外系統のAChE1遺伝子のコピー数は室内系統よりも多い傾向が認められた。AChE1の遺伝子重複はチョウ目昆虫では初めての発見である。AChE1遺伝子のコピー数と有機リン剤抵抗性との間には正の相関が認められたが、有意ではなかった。このことから、AChE1遺伝子のコピー数増加は有機リン剤抵抗性に関与している可能性はあるが、主要因ではないあるいは間接的に関わっていると考えられる。また、A298SとG324Aが連動していないAChE1遺伝子の存在や両変異部位におけるRNA editingやRNA variegationの可能性など従来知られていなかった新しい知見も得られた。これらの成果は、現在、国際誌へ投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
有機リン剤抵抗性に関してこれまで知られていなかった複数の知見が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
有機リン剤抵抗性解析で得られた知見をまとめて国際誌に投稿する。また、キチン合成阻害剤であるベンゾイルフェニルウレア(BPU)剤抵抗性機構の解析を進める。合成ピレスロイド剤、有機リン剤、BPU剤抵抗性機構の関係についても解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
引き続き遺伝子解析キット類、PCR用プライマー、殺虫剤、昆虫飼育資材(植物の種子等)の購入を予定している。また、昆虫の飼育等の補助要因として研究支援者の雇用を予定している。
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