研究課題/領域番号 |
23580075
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
飯山 和弘 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (70325489)
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キーワード | Serratia liquefacines / 病原性 / 病原力因子 / カイコ / リポ多糖 / トランスポゾン |
研究概要 |
前年度までにプロテアーゼ以外の病原力因子がSerratia liquefacinesのカイコに対する病原性に重要であることが明らかとなった。そのため,特定の遺伝子を不活化するジーンターゲティングではなく,網羅的に変異を導入するトランスポゾン法による変異株の作出を試みた。さらに多数の変異株の病原性試験を効率的に行うために,ハイスループットな接種法を確立した。本法により,1200変異株の病原性試験を実施し,病原力の低下が認められた4変異株を選抜した。サザンハイブリダイゼーションによりトランスポゾン挿入数は1カ所であることが明らかとなったため,挿入位置を特定した。その結果,全てリポ多糖(LPS)生合成遺伝子内に挿入されている事が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
Serratia liquefacinesのカイコに対する未知の病原力因子を探索する目的でトランスポゾンライブラリーを作出した。スクリーニングの結果,4変異株において病原力の低下が認められた。これら変異株においてトランスポゾン挿入位置はBLAST検索の結果,LPS生合成遺伝子内であった。 Serratia liquefacinesの基準系統のゲノムは解読され,公開されている。そのため,本配列をレファレンス配列としてBLAST検索を行ったところ,複数の遺伝子は基準系統には存在しないことが明らかとなった。そこで,本研究で供試した菌株のゲノム配列を決定した。アセンブリの結果,28個のコンティグが得られ,全ての遺伝子の箇所を特定した。
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今後の研究の推進方策 |
今後,トランスポゾン挿入によって不活化したLPS生合成遺伝子の相補株を作出し,病原力の回復実験を行う必要がある。さらにLPSが本菌のカイコに対する病原性においてどのような役割を担っているかを明らかにする予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究で供試した菌株のゲノム解読は既に終了しているが,膨大な遺伝子数(約6000)あるため,アノテーション作業および論文投稿は本年度中には終了することができなかった。そのため次年度使用額が生じた。 本研究で供試した菌株のゲノム配列のアノテーション作業および論文投稿費として使用する予定である。 さらに今回特定した遺伝子が昆虫に対する病原性にどのように寄与しているか明らかにするために必要な研究費として使用する予定である。
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