研究課題/領域番号 |
23580077
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
LEE JAEMAN 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (50404083)
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研究分担者 |
日下部 宜宏 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30253595)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | RNAi / RNAi誘導実験 / 遺伝子機能解析 / sid-1 / BmN4細胞 |
研究概要 |
宿主側の因子としてカイコ組織へのdsRNAの取り込みを促進できる新規機能ペプチドの合成については、カイコ脂肪体において生合成され、体液をへて卵巣に取込まれる30kDaタンパク質とλNタンパク質の融合タンパク質を作製・大腸菌発現系を用いて精製した。次いで、λNタンパク質結合配列を挿入したRNAとこれに相補的なRNAを転写合成し、発現系を作製し、融合タンパク質を結合させた上で、このカイコ幼虫に注射した。現在、内在性遺伝子を標的としたRNAi誘導実験を行い、その活性を評価している。 カイコ培養細胞内で長鎖dsRNAよりsiRNAを合成する酵素であるDicerおよび、AGO2、R2D2、TudorSN、LoqsなどのRISCを形成する遺伝子群をクローニングし、各因子間の相互作用解析、遺伝子ノックダウンによる機能解析を行った。その結果、Ago2-DIcer-2およびAgo2-R2D2は主に細胞質で相互作用することが明らかとなり、Ago2-Loqsに関しては同様に細胞質で相互作用していたが、顆粒状の構造を形成していることが明らかになった。特に、TudorSN、LoqsについてはRNAi誘導には必須の因子でないことも明らかになった。 また、カイコ培養細胞に線虫由来の膜タンパク質であるsid-1を導入したところ、樹立した多数のカイコ培養細胞の内、BmN4細胞のみがほぼ100%の導入効率を示し、非常に低濃度のdsRNAを培地中に添加するだけで、RNAiが誘導できることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述のように研究計画の大部分は順調に進んでいるが、昆虫細胞におけるdsRNAによる配列非特異的遺伝子発現抑制機構の解析については、過剰のdsRNA導入を行ったサンプルを調整しており、次年度、次世代シーケンサーを用いたRNA-Seq解析を行う予定である。dsRNAの取り込みを促進できる未知のコクヌストモドキタンパク質の探索と応用については、カイコsid-1導入細胞が同様の目的に供することが可能であり、実用上、より重要と判断したため、同細胞のdsRNAの取り込みの分子機構について解析を行う。
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今後の研究の推進方策 |
新規機能ペプチドについては継続して実験を行う。 sid-1導入細胞については、1種の細胞のみが高効率の取込み能を示したことから、他のカイコ培養細胞を含めた細胞群のRNA-Seq解析を行いその原因を追及する。合わせて、取込み能が低下したリバータント細胞を作製し、この細胞についてもRNA-Seqによる比較解析を行い、高取込み能の要因を明らかにする。また、個体についても線虫sid-1, 2導入遺伝子組換えカイコを作製し、dsRNAの取り込み効率を測定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
培養細胞を用いた研究に必要な試薬、プラスティック製品全般と、核酸のクローニング、合成にかかる試薬、および次世代シーケンサーを用いたRNA-Seq解析に要する試薬を購入する予定である。
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