研究課題/領域番号 |
23580077
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
LEE JAEMAN 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (50404083)
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研究分担者 |
日下部 宜宏 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30253595)
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キーワード | RNAi / RNAi誘導実験 / siRNA / miRNA / Soaking RNAi誘導 |
研究概要 |
カイコ卵巣に取込まれる30kDaタンパク質とRNA結合性を持つλNタンパク質の融合タンパク質については大腸菌発現系を用いて精製した融合タンパク質をλNタンパク質結合配列を持つルシフェラーゼmRNAと結合させた上で、このカイコ幼虫に注射したところ、卵巣においてルシフェラーゼが検出された。次いで、同システムにより、内在性遺伝子(カイコ第三白卵遺伝子)を標的としたdsRNAを導入し、RNAi誘導実験を行ったが、表現型(白卵の産下)は観察されなかった。 カイコ培養細胞内でsiRNA,miRNA経路に関与する遺伝子群の内、昨年度、RISC因子でありながらRNAi誘導には必須の因子でないことを明らかにしたTudor-SNについて、同タンパク質がeIF4E、Tia1、Ago1、Ago2と共に熱誘導により速やかにストレス顆粒を形成すること、Tia1、Ago1、Ago2はTudor-SNのストレス顆粒局在に必要であり、そのシグナルはSN2領域が担っていることを明らかにした。さらに、カイコAgo1が脱キャップ酵素Dcp2とともにP-bodyに局在し、miRNA依存的にmRNAの翻訳抑制を行っていること、F522とF557は、翻訳抑制とP-bodyへの局在に必要であることを示した。 また、昨年度は、線虫由来sid-1を導入したSoaking RNAi誘導が可能なカイコ培養細胞の樹立を報告したが、本年度は、ヨトウガSf9細胞についてもSoaking RNAi誘導が可能な細胞を樹立した。さらに、BmN4 sid-1細胞がdsRNAのみならず、dsDNAを取込む能力があることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述のように研究計画の大部分は順調に進んでいる。昆虫細胞におけるdsRNA応答遺伝子の解析については、siRNA,miRNA経路両経路に関与する因子の多くを解析しており、上述のような新たな発見があった。また、ヨトウガSf9 sid-1細胞についても、基礎応用の両面で活用可能であることが明らかになった。さらに、BmN4 sid-1細胞がdsDNAを取込む能力があることを見出したことから、自律増殖型ベクター等と組み合わせて、遺伝子の機能解析に非常に有用であると期待される。
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今後の研究の推進方策 |
sid-1導入細胞における核酸取込みについては、カイコ培養細胞を含めた細胞群及び、取込み能が低下したリバータント細胞のRNA-Seq解析により比較解析を行う。24年度までにRNA-Seq用ライブラリーは調整済であり、25年度は、取込み能の行程の細胞における発現変動のある遺伝子の同定とその機能解析を行う。また、24年度、線虫においてRNAiに関わるSid-3、5遺伝子が報告されたため、これらの因子についてもBmN4 sid-1細胞に追加導入し、Soaking RNAi効率の促進活性について解析する。 さらに、24年度育成した線虫sid-1導入遺伝子組換えカイコについて、dsRNAの取り込み効率を測定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし。
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