研究概要 |
カイコ培養細胞において、BmAgo1とBmAgo2のノックダウン時に共通して転写量が変化する遺伝子として、macula-like latent virus (BmMLV)、Synaptic ras gtpase activating protein、Bm8 interacting proteinを同定した。この中でも、BmMLVは培養細胞に持続感染しているRNAウイルスで、未処理区おいても比較的強い転写が認められたが、アルゴノートタンパク質をノックダウンすると顕著な転写の増加が認められた。その他のRNAi関連遺伝子についてもノックダウンの影響を解析したところ、アルゴノートタンパク質と同様にBmDcr1、BmDcr2ノックダウンでは強いBmMLV転写促進が観察された。また、BmLoqs、 BmDrosha、BmPahsa、BmR2D2についても、転写促進が観察された。 昨年度、RISC因子の1つであるBmTudor-SNがBmeIF4E、BmTia1、BmAgo1、BmAgo2と共に熱誘導により速やかにストレス顆粒を形成することを報告したが、本年度は、RISC因子間の相互作用を解析した。その結果、BmLoqs はBmDcr2とD2様顆粒へ共局在し、BmAgo1、BmAgo2と相互作用するが、BmR2D2は、D2様顆粒へ共局在せず、BmAgo2とのみ相互作用することを示した。これは、ショウジョウバエとは異なる結果であった。 また、BmAgo1, BmDcr2, BmAgo2, BmLoqs and BmTudor-snノックダウン細胞ではバキュロウイルスに対する感受性が増大すること、バキュロウイルス感染により、P-bodies、D2様顆粒、B2顆粒(dsRNAを含む顆粒)が新たな細胞内顆粒へと再編されることを見出した。
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