ホウ素は植物の生育に不可欠の元素であり、欠乏すると組織の壊死や不稔など多様な生理障害が発生する。しかしホウ素が不足することでそれら障害が発生するメカニズムは明らかでない。そこで植物(シロイヌナズナ)のホウ素欠乏応答を詳細に解析した結果、根の先端部の急速に伸長する細胞では、ホウ素を培地から除去して1時間以内に活性酸素が蓄積し細胞死に至ることが明らかとなった。カルシウムの欠乏でも同様の応答が生じる。これらの急速な応答は細胞の成長に伴い新たに合成される細胞壁多糖ペクチンがホウ素またはカルシウムで架橋されないことで生じることが示唆され、ペクチン架橋の生理的重要性が示された。
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