農耕地でのセレンの動態を調べるため,有機態セレンとしてセレノシステインおよびセレノメチオニンを含むセレン酵母を使用し,無機態セレンとして使用した亜セレン酸を比較した。これらを土壌に添加し,植物への吸収および植物・土壌でのセレンの形態別分析を行った。その結果,有機セレンは土壌中で無機化してから植物に吸収されることが明らかになった。一方,無機セレンは亜セレン酸のままで存在し,植物に吸収された。セレンは植物内では亜セレン酸,セレン酸,あるいはセレノメチオニンの形態で存在していた。このことは,亜セレン酸で吸収された後に,セレン酸さらにはセレノメチオニンに変化したことを意味している。
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