研究課題
オートファゴソーム(AP)形成因子Atg9と輸送小胞の膜融合に関わるSNAREタンパク質との物理的相互作用を解析した。Atg9およびSNAREの多くは膜貫通ドメインを有するタンパク質であるため、split-ubiquitin based membrane yeast two-hybrid (MYTH) systemを用いた。この実験系は、膜タンパク質同士の相互作用を酵母細胞内で再構築・評価できる系である。ゴルジ体SNARE(Vti1、Tlg1、Tlg2)のほか、Ykt6、Use1(小胞体局在)、Sso1(細胞膜局在)とAtg9との相互作用を解析したところ、いずれのSNAREとも結合性が認められた。特にTlg1との相互作用が強いことが明らかとなった。次に、これらの相互作用が細胞内のどの部位で起こっているか明らかにするために、二分子蛍光相補性試験を行った。この手法では、蛍光タンパク質VenusのN末端領域とC末端領域をそれぞれ解析したいタンパク質に融合させ、それらを共発現させることにより、タンパク質相互作用および細胞内における相互作用部位を解析できる。Atg9はatg1Δ株でpre-autophagosomal structure (PAS)呼ばれるAP前駆構造に蓄積し、atg11Δatg17Δ二重破壊株ではPASが形成されず、Atg9はゴルジ体などのオルガネラに局在することが知られている。atg1Δ株ではVti1、Tlg1、Tlg2、Use1、Sso1との結合性が観察され、いずれもPAS上で複合体を形成していることが示唆された。atg11Δatg17Δ株でもこれらのSNAREとの結合性は観察されたが、それらの相互作用部位はatg1Δ株におけるそれとは異なっていた。今後、相互作用部位の詳細な解析は必要であるが、多様なオルガネラからAPへ膜脂質が供給されていることが示唆された。
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巻: 78 ページ: 印刷中
10.1080/09168451.2014.877185
Yeast Protocols, Methods in Molecular Biology
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