研究課題/領域番号 |
23580104
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
福田 良一 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (50323481)
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キーワード | 酵母 / ホスファチジルコリン / ホスファチジルエタノールアミン / リモデリング |
研究概要 |
リン脂質のアシル鎖を置換するリモデリングは、生体膜の恒常性の維持に重要な役割を果たすと考えられているが、そのメカニズムや意義は未解明である。本研究では酵母Saccharomyces cerevisiaeを用い、生体膜の主要リン脂質ホスファチジルコリン(PC)とホスファチジルエタノールアミン(PE)のアシル鎖のリモデリングのメカニズムと意義を明らかにすることを目的として、以下の解析を行なった。 1. これまで使用していたPC合成欠損株ではKennedy経路からのPC合成経路が存在していたため、PCアナログを添加してリモデリングを調べる際に、その分解産物のコリンやホスホコリンからPCが合成される可能性があった。そこでKennedy経路でのPC合成を培地の炭素源により制御できる株を作製した。この株を用いて短鎖アシル鎖を持つPCが酵母内でリモデリングされていることを証明した。これにより、PCアナログのアシル鎖のリモデリングを定量的かつ正確に評価できるようになった。 2. PEのsn-1位へのアシル鎖の導入を解析するためのアナログの大スケールでの合成と解析には遅れが生じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
PCのリモデリングの解析については順調に進行し、その成果を論文として発表することができたが、PEのアナログの合成とそれを用いた解析は遅れているため。
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今後の研究の推進方策 |
PEのアナログの合成を継続するとともに、短鎖アシル鎖を持つPEも併用し、PEのsn-1位のアシル鎖のリモデリングに関わる酵素を探索し、その機能を解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
PEのアナログを新規に合成してPEのsn-1位へのアシル鎖の導入機構を解析する予定であったが、アナログの合成が遅れたため計画を変更し、アナログの合成とそれを用いた解析を継続するとともに、短鎖アシル鎖含有PEを利用してアシルトランスフェラーゼ多重遺伝子破壊株の解析を行うことにした。そのため、次年度使用額が生じた。 アナログの合成とそれを用いた解析、酵素活性測定、リモデリング関連遺伝子破壊株の表現型の解析を次年度に行うことにしたため、研究の遂行に必要な一般試薬、酵素類、プラスチック器具、ガラス器具、標識化合物の購入のための物品費として748,829円を次年度に使用することにした。
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