研究課題/領域番号 |
23580107
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
山本 博規 信州大学, 繊維学部, 准教授 (20262701)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 表層タンパク質 / ターゲティング / 細胞分離酵素 / 細胞壁代謝 / 枯草菌 |
研究概要 |
細胞表層タンパク質の局在性における分泌シグナル(SP)の機能を明らかにするために、本年度は以下のような研究を進めた。まずLytEのSP(SPe)をLytFのSP(SPf)に置換したキメラタンパク質(SPf-LytE)を発現させた場合、その細胞表層における局在性が大きく変化することが明らかになった。本来LytEは細胞の分裂面および側壁に局在するが、SPf-LytEの場合は主に分裂面に局在し、側壁にはほとんど局在していなかった。また分泌量に関しても、SPf-LytEはLytEに比べて減少していることがわかった。さらにこのSPf-LytEが、LytEと同様に細胞側壁の限定分解に機能しているかどうか調べた。実際には、lytEとcwlOの二重欠損が合成致死性を示す表現型を利用して、LytEの機能を相補可能であるかどうかについて調査した。その結果、SPf-LytEは本来のLytEの機能を相補できないことが判明した。この結果は、SPeがLytEの機能において重要な役割を担っていることを示している。またCwlOのSPでLytEを発現させる株については、次年度以降に計画していた他の分泌タンパク質(LytC、LytD、AmyE、PhoD)のSPを用いてLytEを発現させる実験に含めて、それらの構築を進めている。今後これらのキメラタンパク質についても、それらの局在性とともに、lytEとcwlOの合成致死性を相補可能であるかどうかについて調査する予定である。さらにSPeとSPfの前半部分と後半部分を入れ替えたキメラSP(SPefおよびSPfe)についても構築が完了したので、今後これらのキメラSPを用いて発現させたLytEの局在性と機能について調査する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次年度以降に実施する予定であった、他の分泌タンパク質(LytC、LytD、AmyE、PhoD)のSPを用いてLytEを発現させる場合のキメラ遺伝子についても、その構築がほぼ完了している。
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今後の研究の推進方策 |
今後も交付申請書に記載した研究実施計画に基づき、適切な研究の遂行を実施する。次年度は他の分泌タンパク質のSPを用いてLytEを発現させた場合に、局在性や機能面における変化の有無について明らかにすることを目的とする。さらに25年度にはLytEのSPや、LytFのSPをそれぞれの局在部位まで誘導するシステムが存在するのかどうか調査することを試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度購入する予定であった微量高速冷却遠心機が、他研究室より借用できたため、早急に購入する必要がなくなった。しかしながらサンプルを保存する大型フリーザーが不足している状況である。稼動させるための電源設備の更新が本年度完了したため、次年度にフリーザーを購入する予定である。また25年度に実施する予定の複合体解析に用いる実験器材の購入に充てる予定である。
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