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2013 年度 実績報告書

酵母の酸素認識と細胞内酸素情報ネットワークによるメタノール代謝の制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23580109
研究機関岐阜大学

研究代表者

中川 智行  岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (70318179)

キーワードmethylotrophic yeast / oxygen / alcohol oxidase
研究概要

メチロトローフ酵母は、メタノール代謝の際、初段階酵素アルコール酸化酵素(AOD)と末端の呼吸鎖で酸素を利用する必要はあることから、両者が局在するオルガネラ、ペルオキシソームとミトコンドリアでの酸素の消費割合を厳密に制御し、代謝を巧妙に整えていることが考えられる。我々は昨年度までに、AODの遺伝子発現が酸素依存的に行われ、その制御には呼吸鎖が関与することを間接的に証明してきた。本年度は、その制御系における呼吸鎖の重要性を直接観察するため、呼吸鎖の重要因子、シトクロムcの欠損株を獲得し、そのAODおよびメタノール代謝酵素群の発現制御における役割を観察した。
メチロトローフ酵母Pichia pastorisは、すでにゲノム情報が公開されているため、本酵母のシトクロムc遺伝子破壊株を作成した。その遺伝子破壊株cyc1Δ株は、グルコースには生育可能であったが、非発酵炭素源であるグリセロールには生育できなかった。また、メタノールへの生育能も完全に失っており、メタノール代謝には呼吸鎖活性が重要であることが分かった。さらに、cyc1Δ株ではAOD発現は著しく低下し、ホルムアルデヒド脱水素酵素やギ酸脱水素酵素、カタラーゼ等のメタノール代謝に関与する酵素群の誘導も低下していた。
また、Pichia methanolicaのAODアイソザイムの酸素発現を知るための基盤として、各種炭素源による発現応答を明らかにした。これにより、嫌気状態で生育を伴ったAODの酸素応答を観察するための条件を探索する礎を示すことができた。
これらのことから、これまで呼吸鎖阻害剤や呼吸鎖欠損株で示してきた「呼吸鎖がAODやメタノール代謝酵素群の酸素応答における重要性」を遺伝子レベルで示すことができ、今後、本酵母の酸素応答機構における研究進展の基盤を構築することができた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Expression Level of Methanol-inducible Peroxisomal Proteins and Peroxisome Morphology are Affected by Oxygen Conditions and Mitochondrial Respiratory Pathway Function in the Methylotrophic Yeast Candida boidinii2013

    • 著者名/発表者名
      Fujimura S, Yurimoto H, Kurimoto S, Matsufuji Y, Ito T, Hayakawa T, Tomizuka N, Sakai Y, Nakagawa T.
    • 雑誌名

      FEMS Yeast Res

      巻: 13 ページ: 359-366

    • DOI

      10.1111/1567-1364.12040

    • 査読あり
  • [学会発表] メチロトローフ酵母Pichia methanolicaの様々な炭素源による生育特性とAODアイソザイムの発現誘導2014

    • 著者名/発表者名
      若山 敬嗣,早川 享志,中川 智行
    • 学会等名
      日本農芸化学会 2014年度大会
    • 発表場所
      明治大学
    • 年月日
      20140327-20140330
  • [学会発表] メチロトローフ酵母Pichia pastoris AOX1の酸素応答におけるCyc1pの役割

    • 著者名/発表者名
      岡田 一真,栗本 将太,早川 享志,中川 智行
    • 学会等名
      日本農芸化学会 中部支部 第168回 例会
    • 発表場所
      名古屋大学
  • [学会発表] メチロトローフ酵母Pichia methanolicaの異種遺伝子発現系への応用を目指した新たな炭素源の探索とAODアイソザイムの発現特性の解析

    • 著者名/発表者名
      若山 敬嗣,早川 享志,中川 智行
    • 学会等名
      日本農芸化学会 中部支部 第168回 例会
    • 発表場所
      名古屋大学

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公開日: 2015-05-28  

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