研究課題/領域番号 |
23580110
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
金原 和秀 静岡大学, 工学部, 教授 (30225122)
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研究分担者 |
岡野 泰則 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (90204007)
野尻 秀昭 東京大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (90272468)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | バイオフィルム / 流れ場 / 毒性物質分解 / シミュレーション |
研究概要 |
本研究は、芳香族化合物の分解過程でバイオフィルムが形成することに着目し、マイクロアレイによる発現解析を行うと共に、マイクロデバイスを用いて流れ場での形成をシミュレーションし、その形成メカニズムを解明することを目的として行った。1.プレートアッセイによる形成促進の定量化 ビフェニル非分解菌Pseudomonas putida KT2440株と、ビフェニル分解菌Comamonas testosteroni TK102株を用いて、ビフェニル中間代謝産物によるバイオフィルム形成促進を、24穴プレートを用いて定量化した。その結果、ビフェニル分解菌TK102株において、二水酸化ビフェニルの添加でバイオフィルム形成の促進が認められた。2.タイリングアレイによる形成促進機構の解析 24穴プレートに形成したバイオフィルムからRNAが抽出可能なことを確認した。しかし、当初目的としていたビフェニル非分解菌KT2440株においては形成促進が認められなかったことから、KT2440株のタイリングアレイは使用できないことが判明した。現在、TK102株のゲノムシーケンスを依頼中であるが、完了していない。3.マイクロアレイ解析に有用なマイクロデバイスの改良 これまで開発したマイクロデバイスを用いて、流路に形成するバイオフィルムの定量を行った。その結果、共焦点レーザ顕微鏡で得られたデータをCOMSTATソフトウェアで解析し、バイオマスと生細胞・死細胞並びにマトリックスの定量を行うことに成功した。4.バイオフィルム形成のモデル化 フェーズフィールド法を用いて、デバイス中の流れ場でのバイオフィルム形成のシミュレーションモデルを構築した。その結果、レイノルズ数が増加するにつれて基質成分の対流速度が大きくなり、バイオフィルム総量とバイオフィルムの厚みがともに大きくなる傾向になることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
バイオフィルム形成促進の定量は、24穴プレートを用いた実験で再現性を持つ結果を得ることができた。タイリングアレイによる形成促進機構の解析は、KT2440株のタイリングアレイが使用できないという結果が出たため、アレイ解析を行うには至っていないが、24穴プレートに形成したバイオフィルムからRNAの抽出は可能となった。マイクロデバイスの改良については、デバイスに形成するバイオフィルムを定量する解析系を構築できたため、それに合わせた設計を行った。そこで、改良デバイスの作製は24年度に行うことにした。バイオフィルム形成のモデル化は、フェーズフィールド法を用いてバイオフィルム形成のシミュレーションに成功した。以上のように、計画はおおむね順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
まず、改良デバイスの作製を行う。そのデバイスを用いて、バイオフィルム形成促進の定量を行う。また、デバイスに形成したバイオフィルムからRNAを抽出し、タイリングアレイの準備を行う。TK102株のゲノム解析が終了後、タイリングアレイの作製を試みたいが、予算的に難しい場合は、次世代シーケンサを用いたトランスクリプトーム解析で遺伝子発現の解析を試みる。また、デバイスでの解析とシミュレーション解析をリンクさせ、実験条件をシミュレーション条件に反映させる実験を計画する。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度の経費120万円のうち、30万円程度は改良デバイスの試作費に使用する。また、50万円程度はRNAの抽出ならびにタイリングアレイ解析に用いる。残りの費用は、バイオフィルム形成試験に20万円程度を使用し、実験ならびに打ち合わせのための旅費として20万円程度を支出する。25年度の経費100万円については、24年度と同様に50万円程度はRNAの抽出ならびにタイリングアレイ解析に用いる。残りの費用は、バイオフィルム形成試験に20万円程度を使用し、実験ならびに打ち合わせのための旅費として20万円程度を、論文投稿経費に10万円程度を支出する。
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