1.各種石油関連化合物分解菌の機能評価と遺伝子クローニング 前年度クローニングした芳香族化合物分解遺伝子nahAに加え、石油関連化合物分解菌の機能評価と分解関連遺伝子の検討を行った。既に分離済みの耐塩性アルカン分解細菌についてGCによる分解能評価を行ったが、有意な分解が認められず、耐塩性細菌のアルカン分解関連遺伝子を取得することはできなかった。芳香族炭化水素分解細菌Pseudomonasputida HKT554株の機能評価および生産性向上を目的に当該菌株の高密度培養と微生物変換を検討した。培養条件の最適化により40時間で乾燥菌体重量として114g/lの高密度培養系を構築すると共に光学活性メチルフェニルスルホキシドの生産を達成した。 次に、各種石油関連化合物分解細菌から分解関連遺伝子の取得を試みた。アルカンやテルペン系炭化水素水酸化能を有するRhodococcus sp. 11B由来のP450モノオキシゲナーゼahp遺伝子クラスター(2.9kb)、Mycobacterium sp. E16由来のエチレンモノオキシゲナーゼetn遺伝子クラスター(4.1kb)を分離した。また、既報の塩基配列を元にNocardia coralina B276のアルケンモノオキシゲナーゼ(amo)、Pseudomonas putida S12のスチレンモノオキシゲナーゼ(sty)をクローニングした。インドールからのインジゴ生成を指標にnah、sty遺伝子群の大腸菌での発現を確認した。 2.次世代シーケンサによるドラフトゲノム遺伝子解析 上記Rhodococcus sp. 11Bについてパイロシーケンスによるドラフトゲノム解析を行い、アセンブル、アノテーションを実施した。総塩基数65Mb、平均長454bp、コンティグ数850とほぼ期待通りの結果が得られた。炭化水素分解に関連すると推測されるP450遺伝子を抽出したところ、30近いアイソザイムが検出された。上記ahp遺伝子だけでなく、補酵素酸化還元機能を同一分子に有するself sufficient型P450が見出された。
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