研究課題
土壌より分離したセルラーゼ高分泌性放線菌C42株およびM178株より,カルボキシメチルセルロース(CMC)分解を指標に,各々2種の分泌性セルラーゼ遺伝子をクローン化した(平成23年度)。さらに両菌株のゲノム解析より,C42株およびM178株から新たに7および8種のセルラーゼ候補遺伝子群を見出した(平成24年度)。本年度は,4種のセルラーゼ遺伝子とともに,これら遺伝子を単離して発現ベクターにより異種遺伝子発現用放線菌宿主にて発現させ, CMC,濾紙およびアビセルを基質として分解活性とその特性を検討した。C42株の9遺伝子では,2遺伝子がCMC分解(CMCase)活性;6遺伝子が濾紙分解(FPase)活性;うち1遺伝子は両活性を誘導したことから,7遺伝子がセルラーゼ遺伝子であった。M178株の10遺伝子では,3遺伝子がCMCase活性;2遺伝子がFPase活性;うち2遺伝子が両活性を誘導し,さらに他の3遺伝子がアビセル分解(Avicelase)活性を誘導したことから,6遺伝子がセルラーゼ遺伝子であった。CMCaseとAvicelaseはエンド型,FPaseはエキソ型のセルラーゼと判断されることから,両菌株には6~7種のエンドないしエキソ型セルラーゼ遺伝子が存在することが判った。さらに,C42株由来の9遺伝子とキシログルカナーゼ推定遺伝子の10遺伝子を含むカセットを構築し,セルラーゼ分泌活性を示さない放線菌株に導入したところ, CMCaseおよびFPase活性の誘導を導いた。平成23年度にセルラーゼ分解によりセルロースから生じるセロビオースの資化性を付与できる遺伝子カセットを構築しているため,本研究で構築したセルラーゼ遺伝子群およびセロビオース資化遺伝子群の発現カセットを用いることにより,セルロース資化性の乏しい有用物質生産放線菌にセルロース資化性を付与できることが期待できる。
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The Proceeding of the Seventh International Conference on Materilals and Engineering for Resources 2013 AKITA.
巻: 1 ページ: 342, 346