研究課題/領域番号 |
23580119
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
石塚 盛雄 中央大学, 理工学部, 教授 (50168241)
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研究分担者 |
赤沼 元気 中央大学, 理工学部, 助教 (30580063)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 脂質 / リパーゼ / 発現制御 / シグナル伝達 / 生体機能利用 |
研究概要 |
リパーゼ(LipA)超誘導発現において、難水溶性のstearyl alcohol及び水溶性のBrij 98を培地に添加すると、LipA遺伝子の転写活性が非常に増大することが確認された。Brij 98の方がstearyl alcoholより早い段階でLipA遺伝子の転写が増加していた。LipA遺伝子転写促進因子が結合すると推定される反復配列を見出し、反復配列破壊実験による転写活性の減少が見出された。転写促進因子遺伝子候補のうちの1つの機能解析に成功した。翻訳阻害剤存在下で、Brij 98がLipAの菌体外への分泌を促していることが確認できた。界面活性タンパク質(P15)遺伝子の転写活性も、超誘導剤によって非常に高くなることが確認された。P15遺伝子破壊株ではLipA分泌量が低下したが、精製P15添加によりLipA生産が相補できることがわかった。P15遺伝子とLipA遺伝子の転写調節領域の塩基配列相同性がほとんどないことから別の転写制御を受けていることが考えられる。P15の機能を解明するため、P15を大量発現させて精製し、その特性を評価した結果、溶液の表面張力を低下させる能力を確認した。LipAとP15との共超発現・分泌ネットワークの予備検討のために、stearyl alcoholとBrij 98:を用いて培養し、分泌タンパク質のプロテオーム解析を行った。LipA超誘導剤の添加よって菌体外に分泌される機能未知タンパク質(P17)についても、その機能の特定を試みた。部位特異的変異法によりLipAの熱安定性に関与すると推定されるアミノ酸残基の特定を行った。また、LipA特異的シャペロン固定化カラムを用いた相互作用によるLipA精製法を確立して、至適温度、至適pH、熱安定性を決定した。高立体選択性LipA創製が成功すれば、改変LipAの迅速な精製が可能になると期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究の目的」の達成度について、今年度の研究実施計画に基づいて、リパーゼ、P15界面活性タンパク質超誘導(転写、分泌レベル)の詳細が明らかになった。翻訳レベルについても検討中である。リパーゼ遺伝子発現制御因子の1つを見出すことに成功した。超誘導剤を用いた培養分泌外液のプロテオーム解析を行い、「第1段階:リパーゼ・スーパーインデューサー作用ネットワーク機構の総合的解明」に向けた第1年目の結果を得ることができた。部位特異的変異法によりリパーゼの熱安定性に関与すると推定されるアミノ酸残基の特定を行った。また、リパーゼ特異的シャペロン固定化カラムを用いた相互作用によるリパーゼ精製法を確立して、至適温度、至適pH、熱安定性を決定した。次年度の高立体選択性リパーゼ創製の試みが成功すれば、迅速な精製が可能になると期待できる。これにより「第2段階:このシステムを利用した、改良型高立体選択性リパーゼや他の一般有用タンパク質の大量分泌システム確立」に向けて第1歩を踏み出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究計画の遂行状況はおおむね順調だったので、次年度の研究計画に基づいて研究を実施できると考えられる。
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次年度の研究費の使用計画 |
機器備品として、低圧クロマトグラフィーシステム(GEヘルスケア・ジャパン社製・AKTAprime plus)を購入予定であったが、研究分担者への配分額を差し引くと購入困難となり、結局、キャンペーンもなかったため、当該年度における購入は断念し、翌年度に請求する研究費と合わせて購入することにした。
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