研究課題/領域番号 |
23580123
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
藤井 隆夫 崇城大学, 生物生命学部, 教授 (80165331)
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研究分担者 |
西山 孝 崇城大学, 生物生命学部, 准教授 (00425331)
平 大輔 崇城大学, 生物生命学部, 助教 (00569890)
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キーワード | 嫌気性アンモニア酸化 / anammox / ヒドラジン生合成 / 脱窒 / ヘムタンパク質 |
研究概要 |
嫌気性アンモニア酸化(anammox)の無細胞反応系を構築するため、仮定されている反応機構の各素反応に注目し、以下の実験を行った。 1. anammox 菌から精製したヒドラジン加水分解酵素(HH)(本酵素は180 kDaのヘテロ3量体へム蛋白質)を使い、前年度と同様に試験管内での反応中間体ヒドラジン生成を調べた。どのような基質を用いてもヒドラジンの生成が認められなかった。そこで、HHとは別に多量に発現しているヘテロ2量体へム蛋白質(NaxLS) ( その一次構造に他のタンパク質との相同性がなく、しかも負の 酸化還元電位を持つなど、従来の電子伝達のc型へムとは性質が全く違っている。)遺伝子を大腸菌で異種発現させ、これをHHとともに反応に添加する実験を行った。その結果、基質にアンモニアとヒドロキシルアミンを使った場合に、ヒドラシジンの生成が起こることを世界で初めて確認した。現在、その最適条件を検討している。 2.上記の実験に並行して、HHの基質と考えられるヒドロキシルアミンがどのように生成されるのか調べるため、多量発現しているタンパク質から有力候補としてヒドロキシルアミン酸化還元酵素(HAO) を選抜した。HAOによる、還元剤存在下でのヒドロキシルアミン生成を調べた結果、基質に亜硝酸還元酵素によって生成するNOを使った場合にのみ、HAOによるヒドロキシルアミンの生成が起こることを確認した。 3.我々が研究対象にしているanammox菌KSU-1株には、従来報告のあったヘム型の亜硝酸還元酵素(NIR) ではなく、Cu型のNIRが使われていることを明らかにした。このNIRと上記ヘムタンパク質が一体的に触媒する亜硝酸とアンモニアからのヒドラジン合成反応について、その反応条件、反応の特徴などの解明が検討課題として浮上してきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度未達成であった、HH の活性発現因子の一つとして NaxLS を添加による、ヒドラ シジン生成活性を平成24年度に確認し。その反応中間体としてアンモニアとヒドロキシルアミンを同定した。さらに、反応モデル(仮説)にはなかった一酸化窒素からヒドロキシルアミンの生成を触媒する、候補タンパク質としてHAOを見いだした。一酸化窒素を亜硝酸から生成させるCu型NIRも含め、今後、これらの反応最適条件を明らかにすれば、全体の実験計画を達成出来る。平成24年度に計画のほぼ80%は達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に以下の実験を行う。 1.HHによるヒドラジン生成の最適条件を検討する。具体的には基質のヒドロキシルアミンをキャリーするタンパク質の可能性のある、低分子量のヘムタンパク質を精製している。このタンパク質を加えた条件でのヒドラジン生成を調べる。2.HAOとNIRを含む、亜硝酸、アンモニアからのヒドラジン生成系を組み立てる。3.すべてを総合した、無細胞anammox反応系について、その全貌を解明する。
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次年度の研究費の使用計画 |
おもに、物品費として試薬類、ガラス・プラスチック類の購入費用として500,000円を使用する予定である。
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