研究課題
平成23年度は、マクロファージ様培養細胞J774.1にLactococcus lactis菌株およびこれらの菌株由来の莢膜多糖(CPS)を結合させた蛍光標識ビーズ(疑似菌体モデル)を添加して被貪食能および一酸化窒素やサイトカイン産生を解析した。細胞は貪食した蛍光標識ビーズの個数毎に解析が可能であり、DRC2由来CPS修飾ビーズは被貪食能が高かった。C59由来CPS修飾ビーズはBSA修飾したコントロールビーズと差がなく、C59菌体が貪食されにくい傾向と一致していた。これまで莢膜を有するL. lactis菌株の中でC59の莢膜成分が特異的にカチオン性色素ルテニウムレッド(RR)と結合することを報告している。平成24年度はC59の莢膜成分からRR結合因子を精製した。この因子はアガロースゲルで電気泳動後、臭化エチジウム染色で1.5と2.5 kbの2本のバンドとして検出され、RNase処理によりこれらのバンドは消失したことから、リボソームRNAを主成分とするRNAであると結論した。莢膜の主要成分がCPSであるという仮定で疑似菌体モデルを作製していたが、その特性(RR結合性)に寄与する成分がRNAという予想外の結果となった。平成25年度は走査型電子顕微鏡観察の結果、C59ではRNAが溶出するような菌体表層の損傷は観察されなかったが、表面に粒子状の形態が認められた。C59と同一分離源でCPSを産生しないL. lactis C63では粒子状の形態は存在しなかった。この形態はファージ粒子の電顕写真と類似しており、その検証を進めている。次世代シーケンサーによる配列解析の結果、C63はC59と同一のeps遺伝子クラスターを有しており、今後C63を用いたeps遺伝子の形質転換系に利用できる。
すべて 2013 その他
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Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
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