研究課題/領域番号 |
23580129
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
王 碧昭 筑波大学, 生命環境系, 教授 (80261775)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 腎臓発生血管網 / 血管鋳型剤 / 低温徐凝固 / 手動式超微量駆動装置 / 保温ホルダー / 走査型電子顕微鏡 |
研究概要 |
腎萎縮、結石および壊死に起因する血管網障害を治癒するため、血管網の再生が重要な課題であり、血管網の時空間的形成機序の解明が糸口である。本研究の目標は、マウス胎児のin vivoバイオイメージングに必要な低侵襲技術を樹立し、可視化システムを開発する。初年度は低侵襲条件で微細血管網の鋳型作成法と鋳型血管を観察する可能な最大限度を探索し、以下の実績を達成した。 まず、自作した保温ホルダーを用い、妊娠マウスの母体と腎臓発生初期マウス胎児を生きたままで、胎盤介入法によりin vivoで血管鋳型剤の注入ができ、保温条件下で胎児全身の血管網への循環に成功した。また鋳型剤を低侵襲状態で注入するため、超微量駆動装置を試作し、徐凝固する血管鋳型剤を低速微量で注入し、低温凝固により最適な血管網鋳型形成条件を見出した。この技法で形成された胎児全血管鋳型を金コート処理したうえ、走査型電子顕微鏡で観察し、微細血管の形成度を確認した。 上記の成果を平成24年3月2日につくば技術研究会で発表した。同成果を平成24年6月、9月と10月に日本透析学会、IBS (international biotechnology symposium)国際学会、日本生物工学会に発表要旨を既に登録、発表する予定である。またこれらの成果をまとめ、24年度で国際学術誌に投稿発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は腎臓血管発生機序の論議である「血管新生論」と「脈管形成論」の根源を解明するため、「低侵襲・可視化システムの開発」に向けて、微細血管網の鋳型作成法をチャレンジし、保温ホルダーと低温鋳型剤の導入および手動式超微量駆動装置を用い、最適な条件を樹立した。詳細を以下のとおりである。(1)自作した保温ホルダーを用い、妊娠マウスE13.5の母体と腎臓発生初期3日目に相当するマウス胎児を生きたままで、胎盤介入法により低侵襲in vivoで血管鋳型剤の注入ができ、胎児全身の血管網への循環に成功した。(2)超微量電気駆動装置を手動に改良し、漏れやすい血管造影剤を低温で凝固できる血管鋳型剤に改変し、手動で注入速度をコントロールしながら、低温で鋳型剤の凝固を観測しながら、最適な血管網鋳型形成条件を見出した。(3)形成した胎児全血管鋳型を走査型電子顕微鏡で観察し、形成度を確認した。
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今後の研究の推進方策 |
初年度(平成23年度)は低侵襲in vivo血管鋳型の作成法を開発したが、時空間的な観測はまだ行っていない。特に血管網発生最初の初期に背側動脈に関わっているか、それとも中腎に存在する血管に影響を受けるか、未だに未解明でした。よって次年度は時空間的観測に重点を置き、これまで論議され未解明の「血管新生論」や「脈管形成論」を明らかにする。そのため、血管鋳型剤の他、蛍光造影剤の導入、生化学、分子生物学的な解析も行い、さらにin vitro後腎培養法を開発し、血管新生促進因子、管壁成熟因子を解明する。下記の研究を進めていきたい。・胎児発生最初期血管網発生の時空間的観測E10-E12の胎児マウスに、蛍光色素を混入した血管鋳型剤を注入し、深部構造の3Dソフトを持つ共焦点顕微鏡を用い、時空間的に解析する。・血管新生時間因子の分子生物学・生化学的解析と比較RT-PCR, in situ hybridization, western blot等分子生物学、生化学的手法により、血管の発生・成熟および動脈、静脈の形成を解析する。これらの実験はバイオイメージングから得られた不確定なデータを比較・検証するため行われる。特に腎臓の血管網の殆どは皮質に存在するため、発生期後腎の皮質を用いる。使用するprimerは血管新生過程に内皮細胞を遊走・増殖に関わる初期因子、管腔形成に関与する中期因子、血管安定化に関わる後期因子、管壁成熟マーカである細胞間接着因子。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は交付申請した研究費(直接経費1500(千円))を使用する予定1.設備備品費 490(千円) 2.消耗品費 410(千円)3.成果発表 300(千円) 4.謝金 100(千円)5.その他 200(千円
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