研究概要 |
23年度および24年度の本研究で確立した、cDNAリソースと無細胞タンパク質合成系を用いたN-ミリストイル化タンパク質の網羅的探索法を約6,300個のヒトcDNAに適用して見出した、多数の疾患関連タンパク質を含む37個の新規N-ミリストイル化タンパク質について解析を行った。その結果、これまで細胞質タンパク質に特異的に生ずると考えられてきたタンパク質N-ミリストイル化が、原形質膜、小胞体膜、ミトコンドリア膜といった生体膜に局在する多くの膜タンパク質にも生じている事が明らかになった。これらの膜タンパク質の中で、特に小胞体の形態形成に関与していることが最近報告された Protein Lunaparkについて詳細な解析を行ったところ、このタンパク質はN-末端およびC-末端を細胞質に向けた2回膜貫通型の小胞体膜タンパク質であり、その細胞内での過剰発現に伴い、N-ミリストイル化依存的に小胞体の網目構造の形成を誘導することが明らかになった。この結果は、細胞内小器官の形態形成に、N-ミリストイル化された多重回膜貫通型タンパク質が関与することを明らかにした初めての実験結果であり、N-ミリストイル化の新規の機能として注目される。
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