研究課題/領域番号 |
23580139
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
渡辺 光博 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 教授 (10450842)
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研究分担者 |
森本 耕吉 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (10468506)
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キーワード | 胆汁酸 / 代謝 / ACC / 発現解析 |
研究概要 |
本研究は、脂肪酸合成の律速酵素であるとともにエネルギーセンサーであるAcetyl-CoA Carboxylase (ACC) 2の遺伝子発現が胆汁酸投与により抑制されるとの知見、ならびにACC2の発現に2つの異なるプロモーター領域が関与しているとする知見を足掛かりとし、ACC2遺伝子発現制御により脂肪肝やメタボリックシンドロームの治療への新たなアプローチを提唱することを目的とするものである。研究計画として、平成23年度にマウスACC2遺伝子のプロモーター領域のクローニング、各プロモーター領域の転写活性についてルシフェラーゼアッセイを用いた検討、ならびに主要臓器におけるACC2遺伝子発現パターンの検討を実施、平成24年度には野生型および遺伝子改変動物の肝臓初代培養細胞を用いた検討、ならびにsiRNAを用いたACC2遺伝子発現抑制の効果に関する検討を予定していた。平成24年度の研究実績としては、平成23年度の研究成果を踏まえ、特にACC2遺伝子の2つのプロモーター領域の特性についてより詳細に見極めるべく、肝臓初代培養細胞を含む複数種の培養細胞株を用いたルシフェラーゼアッセイ、および複数の疾患モデル動物におけるACC2遺伝子発現パターンの検討が中心となった。これらの結果を詳細に検討した結果、ACC2の2つのプロモーター領域が、特に絶食時/飽食時の様々な遺伝子の発現パターン変化において巧妙に役割分担している可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度のスタート時点での研究実績が、ACC2遺伝子の2つのプロモーター領域の役割の解明、という視点において検討材料となるデータの蓄積が不十分であったため、平成24年度は当初予定していた検討(野生型および遺伝子改変動物の肝臓初代培養細胞を用いた検討およびsiRNAを用いたACC2遺伝子発現抑制の効果に関する検討)に先立ち、前年度の直接的な延長線上に位置する検討(ルシフェラーゼアッセイおよびリアルタイムPCRを用いたACC2遺伝子発現パターンの検討)を実施したため、平成24年度終了時点での達成度は、当初の研究計画と比較して「やや遅れている」と評価した。新規の遺伝子クローニングということもあり、プロモーター部位のクローニングに予定していなかったトラブル等があり、遅れてしまったのが原因である。ACC2遺伝子の2つのプロモーター領域の役割を明確にすることはその後の本研究の展開において非常に重要であり、そのための遅延は止むを得ないものであったと考える。遅れを取り戻すため、力を尽くしていく。
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今後の研究の推進方策 |
現在は当初の研究計画より遅れて平成24年度の研究計画(遺伝子改変動物の肝臓初代培養細胞を用いた検討、およびsiRNAを用いた検討)に着手しており、平成25年度は引き続きこれらの検討を継続する。また、当初の研究計画で平成25年度に予定していた研究計画(注目したシグナル伝達系に作用する化合物を用いたin vitroならびにin vivoでの検討)についても、当初の計画どおり実施していく方針である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費使用計画については、平成24年度終了時点で平成24年度の研究計画に記載した内容の試料はすべて収集済であるが、平成25年度にまずはそれらの解析を継続して実施するため、遺伝子発現解析に要する費用ならびに試薬・消耗品類の購入に要する費用において、当初の研究費使用計画との間に若干の齟齬を生じる可能性がある。その他の研究費使用計画は当初の計画どおりである。
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