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2012 年度 実施状況報告書

代謝中間体を利用したオーキシン生合成経路の解析

研究課題

研究課題/領域番号 23580144
研究機関横浜市立大学

研究代表者

鈴木 優志  横浜市立大学, 木原生物学研究所, 特任助教 (30342801)

キーワードオーキシン / シロイヌナズナ / 遺伝子発現 / 生合成 / 代謝中間体 / TAA / YUCCA
研究概要

オーキシン生合成にはさまざまな経路が提唱され、多くの中間体が関わっているとされてきた。しかし、昨年度にシロイヌナズナではインドールピルビン酸(IPyA)を中間体とするIPyA経路が主要なオーキシン生合成経路であることが報告された。IPyA経路を担う酵素はTAAファミリーとYUCファミリーである。
前年度までにTAA阻害剤であるAOPP処理によるYUCファミリーの遺伝子発現がフィードバック制御を受けることを明らかにした。今年度はAOPP以外の複数のオーキシン生合成酵素阻害剤でオーキシン生合成関連遺伝子の発現解析を行い、KynurenineというTAA阻害剤でもYUCファミリーの遺伝子発現がフィードバック制御を受けることを明らかにした。さらに、これらの現象は当研究室で開発中のAOPPやKynurenineとは標的酵素の異なる新たなオーキシン生合成阻害剤でも同様の結果が得られることを確認した。
また、合成オーキシン(NAAや2,4-D)の投与により、TAAやYUCファミリーの遺伝子発現が減少することを見出し、フィードバック制御は活性化と不活性化の両方向に機能することを見出した。
さらに、Kynureninを3時間処理した植物にインドールピルビン酸(YUC酵素の基質)を投与することで、インドールピルビン酸単独投与の植物に比べて高いインドール酢酸の蓄積が見られた。このことは、フィードバックによるYUC活性化を代謝レベルで確認することに成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

オーキシン過剰時(合成オーキシン投与時)にはYUCファミリーの遺伝子発現が下がり、オーキシン欠乏時(阻害剤投与時)にはYUCファミリーの遺伝子発現が上がることから、1)オーキシン生合成はフィードバック制御を受けること、2)このフィードバック制御は活性化・不活性化の両方向に機能していることを明らかに出来た。さらに、遺伝子発現だけではなく、IPyA経路の中間体であるIPyA投与により代謝レベルでの調節機構を明らかにすることが出来た。YUCはオーキシン生合成の律速段階であり、このステップが代謝レベル・遺伝子発現レベルでフィードバック調節を受けることは、オーキシンホメオスタシスにとって重要であることを明らかに出来た。
一方、中間体プロファイルについては、オーキシンの主要生合成経路がIPyA経路であることが明らかになったので、他経路の中間体を解析する重要性が下がったため、優先順位を下げて解析を延期している。

今後の研究の推進方策

現在までにシロイヌナズナのオーキシン生合成において、YUCの遺伝子発現・代謝活性が活性化・不活性化両方向にフィードバックによって制御されていることを見出した。計画最終年度ではこれを論文として纏めるとともに、シロイヌナズナ以外の植物におけるオーキシン生合成調節機構についても探索していく。

次年度の研究費の使用計画

計画最終年度では、1)遺伝子発現解析のための分子生物学実験用試薬・キット等に50万円、2)オーキシンおよび中間体分析におけるLC-MS運転に関わる分析消耗品および関連試薬に50万円を、3)培地作りや植物の播種・管理担当の実験補助員雇用費用に65万円を、4)その他一般プラスチック消耗品および植物栽培関連製品として20万円を、5)論文原稿英文校閲および投稿料に15万円を計上する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] Comparison of indole derivatives as potential intermediates of auxin biosynthesis in Arabidopsis2013

    • 著者名/発表者名
      Ishida Y., Nakamura A., Mitani Y., Suzuki M., Soeno K., Asami T. and Shimada Y.
    • 雑誌名

      Plant Biotechnology

      巻: 30 ページ: in press

    • 査読あり
  • [学会発表] YUCCAを標的とする新型オーキシン生合成阻害剤の開発2013

    • 著者名/発表者名
      山崎千秋, 佐藤明子, 谷川友栄, 三井麻利江, 鈴木優志, 國土祐未子, 石井貴広, 添野和雄, 嶋田幸久
    • 学会等名
      日本農芸化学会2013年度大会
    • 発表場所
      仙台市
    • 年月日
      20130324-20130328
  • [学会発表] 種子の重量制御に関わるシトクロムP4502013

    • 著者名/発表者名
      鈴木優志、三井麻利江、嶋田幸久
    • 学会等名
      第54回日本植物生理学会年会
    • 発表場所
      岡山市
    • 年月日
      20130321-20130323
  • [学会発表] オーキシンのシグナルを抑制するシロイヌナズナDof型転写因子の解析2013

    • 著者名/発表者名
      石田遥介, 中村郁子, 鈴木優志, 筧雄介, 橋本恵, 近藤陽一, 松井南, 豊岡公徳, 林謙一郎, 浅見忠男, 嶋田幸久
    • 学会等名
      第54回日本植物生理学会年会
    • 発表場所
      岡山市
    • 年月日
      20130321-20130323
  • [学会発表] オーキシン生合成酵素YUCCA阻害剤の発見とその生理作用2013

    • 著者名/発表者名
      山崎千秋, 佐藤明子, 谷川友栄, 三井麻利江, 鈴木優志, 國土祐未子, 石井貴広, 添野和雄, 嶋田幸久
    • 学会等名
      第54回日本植物生理学会年会
    • 発表場所
      岡山市
    • 年月日
      20130321-20130323
  • [学会発表] Characterization of a Dof-type transcription factor, which plays a negative role in auxin signaling in Arabidopsis root elongation2012

    • 著者名/発表者名
      Yosuke Ishida, Ayako Nakamura, Masashi Suzuki, Yusuke Kakei, Youichi Kondou, Minami Matsui, Kiminori Toyooka, Kenichiro Hayashi, Tadao Asami and Yukihisa Shimada
    • 学会等名
      AUXIN 2012
    • 発表場所
      Hawaii, USA
    • 年月日
      20121209-20121214
  • [学会発表] 種子の重量制御に関わるシトクロムP4502012

    • 著者名/発表者名
      鈴木優志、嶋田幸久
    • 学会等名
      第25回植物脂質シンポジウム
    • 発表場所
      神戸市
    • 年月日
      20121130-20121201

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公開日: 2014-07-24  

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