研究課題/領域番号 |
23580147
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
久世 雅樹 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40335013)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 酵素 / 生体分子 / 生理活性 / 蛋白質 / 有機化学 |
研究概要 |
発光タンパク質の発光量は蛍光タンパク質に比べて小さく、このことは発光タンパク質をイメージング手段として利用する際の大きな問題点となっている。発光タンパク質の発光量は基質が結合した発光タンパク質の量で規定されるため、発光量を増やすためには使用済み基質をタンパク質から除去し、新たな基質を導入し発光タンパク質を再生する必要がある。これが実現すれば発光量を増やすことが可能となる。本研究では、発光後生成物からクロモフォア(発光を司る化学構造)を再生する条件を模索し、発光タンパク質による連続的生物発光の実現を目的とした。 本年度は、システイン残基にクロモフォアが共有結合した発光タンパク質について、そのクロモフォア酸化物のモデル化合物の合成法について検討した。 ベンズアルデヒドから数段階にて、チオール基が導入されたフェニル酢酸誘導体を合成することができた。次いで、既存の方法で別途化学合成したセレンテラミンとの縮合条件について検討した。これまではカルボン酸部分を酸クロリドへと変換してから縮合していたが、カルボン酸をそのまま縮合する方法を用いることでクロモフォア酸化型アナログが効率よく合成できた。本手法を用いて、発光後クロモフォア酸化物のモデル化合物の合成が完了した。 このモデル化合物は発光タンパク質を再生させるための条件を模索するための重要な分子プローブである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はこれまでに合成例のない発光後クロモフォア酸化物のモデル化合物の合成方法を確立することが課題であった。ベンズアルデヒドから数段階でクロモフォア酸化物モデルを効率的に化学合成することに成功したので、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度化学合成した分子プローブ(発光後クロモフォア酸化物モデル)からチオール基が遊離する条件について、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)を用いて詳細に検討する。現在のところ、2通りの遊離経路を予想しているので、そのどちらの経路でこのモデル化合物が分解するのかを明らかにする。その結果を基にして、天然型基質を改変し、発光タンパク質の発光量を増加させる条件について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度の研究費のうち次年度使用分は、年度末に購入する消耗品と、年度末の学会発表旅費として支出する計画である。 次年度以降における上記の研究を推進するために、有機合成用反応剤、有機合成用溶媒、生化学用試薬、実験用ガラス器具、実験用プラスチック器具、HPLC用移動相、そして電気泳動用試薬の購入に消耗品費の使用を計画している。また、本研究成果を学会発表するために国内旅費を使用する計画である。
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