研究課題
動物細胞表面に普遍的に存在するヘパラン硫酸(HS)が,さまざまな生理機能に関与することに着目し,腸管上皮細胞様モデルとしてCaco-2細胞を用い,ペクチン添加による細胞表面HS構造への影響を調べたところ,HSの硫酸化構造の大きな変化が認められた。さらに,この構造変化に影響を与える脱硫酸化酵素HS 6-O-endosulfatase(HSulf)に注目し,ペクチン添加時のCaco-2細胞内発現をリアルタイムRT-PCRにより確認したところ,Caco-2において発現するHSulf-2の発現が増加していた。そこで,Caco-2細胞におけるHSulf-2の発現誘導を指標として,ペクチンと相互作用する細胞外マトリクスタンパク質のフィブロネクチンとその受容体であるα5β1インテグリンが,ペクチンによる細胞応答に関与しているか検討した。すなわち,フィブロネクチンのペクチンとの結合部位であるIII1Cペプチドやフィブロネクチンのインテグリンとの結合部位であるRGDペプチドをペクチンと同時に添加すると,ペクチンによるHSulf-2の発現誘導に対して,それぞれのペプチドが抑制的に影響することが明らかとなり,ペクチンはこれらのタンパク質を介してHSulf-2の発現を制御し,ヘパラン硫酸の構造変化をもたらしていることが示唆された。さらに,小腸陰窩細胞のIEC-6細胞とCaco-2細胞とを用いて複合培養系を構築し,トランスウェルの分化Caco-2細胞のアピカル側にペクチンを添加すると,アウターウェルのIEC-6細胞の生育数が,ペクチンの濃度依存的に増加することを見出した。また,ペクチン添加時にCaco-2細胞内Wnt3aタンパク質の発現量が上昇すること,さらに,ペクチン添加によりCaco-2細胞表面のヘパラン硫酸の硫酸化構造は,Wntタンパク質に対して結合力を著しく減少させることを明らかにした。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
Biosci. Biotechnol. Biochem.
巻: 未定 ページ: 未定
巻: 77 ページ: 2137-2139
10.1271/bbb.130392
http://gifu.yabets.info/projects/yabe/yabeprojectpectin