研究概要 |
青果物の水溶性成分(Ws)の活性酸素に対する抗酸化活性を評価しようとする研究が注目されている。青果物のWsにはタンパク質、核酸、糖質、脂質、アミノ酸、遷移金属および代謝物が含まれ、それらが個々の2次反応速度定数[ki]と濃度[Aoxi]で活性酸素種(ROS)と並列的に反応する。本研究では、スーパーオキシドラジカルの測定対象とするHPLC-ESR1法によって青果物Wsに含まれる抗酸化活性物質を詳細に検討し、主要な抗酸化活性成分の帰属およびそれらの総活性に対する寄与(比抗酸化活性)の解析法を確立した。 ESRクロマトグラフのピーク面積(Sj)はある溶出成分jのkj値と濃度[Aoxj]の積に相関することから、比抗酸化活性(Fj %)はSjと総面積(Σ Si)の比として算出した(2)。 Fj = kj [Aoxj]/Σki [Aoxi] ∝Sj /ΣSi (2) ブロッコリの各溶出成分のFj 値(%)は次のように算出した;HMW(br1, 73 %)、Asc(br2, 5 %)、Tyr(br3, 7 %)、dT(br4, 7 %)、Trp(br6, 3 %)および未知成分p5(br5, 3 %)。さらに、ほうれん草の溶出ピークsp1 (8.5 min)、sp3 (10.6 min)、sp5 (13.4 min)、sp6 (13.4 min)に含まれる主な抗酸化成分(Fj %)は、それぞれHMW(24%)、Asc (12%)、Tyr(6 5%)、G(3%)と帰属した。sp7(33%)およびsp8(20%)はほうれん草に特有の抗酸化成分であり、268および368 nmの長波長領域に吸収極大を有するフラボノイド誘導体の可能性が高い。このように、青果物に含まれるスーパーオキシドラジカル消去活性物質の比活性を数値化する唯一の方法論として、HPLC-ESR法の有用性が支持された。
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