研究課題
平成24年度は前年度に構築した培養細胞評価系を用い、細胞のエネルギー代謝機能亢進効果の検討を行った。主な検討項目として筋肉細胞におけるミトコンドリア呼吸能の増強効果と肝細胞におけるエネルギー代謝亢進効果に関して検討を行った。筋肉細胞のモデルとして、マウス骨格筋由来筋芽細胞株C2C12細胞を用いて筋肉細胞のエネルギー代謝を亢進する機能性を有する食品に関して検討を行った。細胞のミトコンドリアにおける呼吸活性を定量化できるテトラゾリウム塩の一種であるWST-1を用いて調べたところ、C2C12筋管細胞に対して発酵乳ケフィア処理を48時間行った結果、細胞ミトコンドリアの呼吸活性の亢進効果が確認された。発酵乳ケフィアの4時間処理において脂肪酸β酸化経路活性化が前年度に確認されており、これらを併せて筋肉細胞へのエネルギー代謝亢進効果が強く示唆される結果を得た。肝細胞のモデルとして、ヒト肝ガン由来HepG2細胞、またはマウス初代肝細胞を用いて、細胞のエネルギー代謝への機能性を有する食品に関して検討を行った。発酵乳ケフィア処理により肝細胞モデルにおけるパルミチン酸β酸化の亢進が確認された。発酵乳ケフィア処理は細胞内でエネルギー代謝に大きく関与している5’-AMP-activated protein kinaseを活性化することが確認され、また同時にエネルギー代謝制御における上流因子の一つであるperoxisome proliferator-activated receptor-αのmRNA発現量の上昇が確認された。以上のことから発酵乳ケフィア処理はこれらのシグナル経路を介してエネルギー代謝亢進効果を生じさせていると考えられた。
2: おおむね順調に進展している
おおむね研究開始時に立案した研究実施計画に基づき研究を遂行できている。平成24年度は研究初年度に構築した培養細胞による機能評価系を利用し、ミトコンドリア呼吸活性と細胞のエネルギー代謝亢進を指標としたミトコンドリア機能亢進効果を有する機能性食品の検討を行い、次年度の研究につながる成果が挙げられた。
培養細胞評価系により筋肉細胞・肝細胞のそれぞれにおける脂肪酸燃焼機能制御、細胞へのグルコース・脂質取込み機能制御、エネルギー代謝機能制御などの抗メタボリックシンドローム効果を有する機能性食品成分の単離・同定、加えて活性成分の作用点を明確にするための検討を行う。また、タンパク質品質管理機能増強、DNA修復機能増強が抗メタボリックシンドロームに寄与する効果の検討を行う。さらに、メタボリックシンドロームのモデル動物を使用した動物実験により包括的な抗メタボリックシンドローム機能を有する機能性食品の評価を行う。
該当なし
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