研究課題
本研究の遂行にあたり、筋肉細胞を用いてミトコンドリア機能培養細胞評価系を構築し、ミトコンドリア機能亢進効果の検討を行った。その結果、発酵乳ケフィア処理を行うことで、細胞のミトコンドリアでのエネルギー代謝制御に関与する5’-AMP-activated protein kinase (AMPK)、および脂肪酸酸化に関与するAcetyl-CoA carboxylaseのリン酸化増強が確認されたことから筋肉細胞のミトコンドリア機能活性化が示唆された。また、細胞内でのミトコンドリア生合成に関与しているPeroxisome proliferator-activated receptor-γ coactivator-1α分子のmRNA発現量増加が確認された。また、テトラゾリウム塩の一種であるWST-1を用いて筋肉細胞のミトコンドリアにおける呼吸活性を調べたところ、発酵乳ケフィア処理を48時間行った結果、細胞のミトコンドリア呼吸活性の亢進効果が確認された。以上の結果を併せて、発酵乳ケフィアのミトコンドリア機能強化を介した筋肉細胞のエネルギー代謝亢進効果が強く示唆された。肝細胞モデルを用いて、エネルギー代謝への機能性を有する食品に関して検討を行ったところ、発酵乳ケフィア処理により肝細胞モデルにおける脂肪酸β酸化の亢進が確認された。また、発酵乳ケフィア処理は肝細胞でAMPKを活性化することが確認され、また同時にエネルギー代謝制御に関わる上流因子の一つであるperoxisome proliferator-activated receptor-αのmRNA発現量の上昇が確認された。メタボリックシンドロームモデルマウスを用いて検討したところ、発酵乳ケフィア投与による血中アディポネクチン量の変化は見られなかったが、耐糖能の改善と血中インスリン量の低下が認められ2型糖尿病症状の改善が強く示唆された。
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Biochemical and Biophysical Research Communications
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