新規慢性炎症関連因子「アンジオポエチン様因子２」を標的とした慢性炎症予防

2013 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 23580174
• 研究機関: 宮崎大学
• 研究代表者: 西山 和夫 宮崎大学, 農学部, 准教授 (40164610)
• キーワード: アンジオポエチン様因子２ / 脂肪細胞 / リポ酸 / インスリン / β1-インテグリン

研究概要

マウス前駆脂肪細胞3T3-L1を用いて分化前後におけるアンジオポエチン様因子２産生について調べた結果、分化前の細胞において最も高いレベルのアンジオポエチン様因子２産生が認められた。3T3-L1細胞の分化・成熟過程ではインスリンを添加するが、成熟脂肪細胞においてインスリンがアンジオポエチン様因子２の産生を抑制することが報告されているが、分化前の前駆脂肪細胞に対するインスリンの影響に関する報告はない。そこで、今回は分化前後の細胞を用いてインスリンの影響を検討した。その結果、これまでの報告と同様に成熟脂肪細胞においてインスリンはアンジオポエチン様因子２の産生を強く抑制したが、分化前の前駆脂肪細胞においても成熟脂肪細胞と同様にアンジオポエチン様因子２の産生を強く抑制することが明らかとなった。次に前駆脂肪細胞と成熟脂肪細胞によるアンジオポエチン様因子２産生に対するリポ酸の影響をインスリンの存在下と非存在下において検討した結果、リポ酸はインスリンの存在下においてのみ両細胞によるアンジオポエチン様因子２の産生を抑制することが明らかとなった。
我々は既にリポ酸がアンジオポエチン様因子２の受容体であるβ1-インテグリンのがん細胞表面における発現を抑制することを報告しているが、今回、リポ酸の作用機構を明らかにするためにリポ酸の作用をジヒドロリポ酸およびカプリル酸と比較検討した。その結果、ジヒドロリポ酸とカプリル酸にはβ1-インテグリンの発現に対する抑制作用が認められないことが明らかとなり、リポ酸の1,2-ジチオラン構造がβ1-インテグリン発現抑制作用に重要であることが明らかになった。

研究成果

• [雑誌論文] Identification of a novel flavonoid glycoside sulfotransferase in Arabidopsis thaliana (2014)
  • 著者名/発表者名: Hashiguchi T, Sakakibara Y, Shimohira T, Kurogi K, Yamasaki M, Nishiyama K, Akashi R, Liu MC, Suiko M.
  • 雑誌名: J Biochem 巻: 155(2) ページ: 91-97
  • DOI: 10.1093/jb/mvt102
  • 査読あり
• [雑誌論文] Carnosol, rosemary ingredient, induces apoptosis in adult T-cell leukemia/lymphoma cells via glutathione depletion; proteomic approach using fluorescent two-dimensional differential gel electrophoresis (2014)
  • 著者名/発表者名: Yo-ichi Ishida, Masao Yamasaki, Chizuko Yukizaki, Kazuo Nishiyama, Hirohito Tsubouchi, Akihiko Okayama, Hiroaki Kataoka
  • 雑誌名: Human Cell 巻: 27(2) ページ: 68-77
  • DOI: 10.1007/s13577-013-0083-6
  • 査読あり
• [雑誌論文] Alpha Lipoic Acid suppresses migration and invasion via downregulation of cell surface β1-integrin expression in bladder cancer cells (2014)
  • 著者名/発表者名: Masao Yamasaki, Masahiro Iwase, Kazuo Kawano, Yoichi Sakakibara, Masahito Suiko, Masahiro Ikeda, Kazuo Nishiyama
  • 雑誌名: J Clin Biochem Nutr 巻: 54 ページ: 18-25
  • DOI: 10.3164/jcbn.13-57
  • 査読あり
• [雑誌論文] Induction of apoptotic cell death in HL-60 cells by jacaranda seed oil (2013)
  • 著者名/発表者名: Masao Yamasaki, Chihiro Motonaga, Marino Yokoyama, Aya Ikezaki, Tomoka Kakihara, Rintaro Hayasegawa, Kaede Yamasaki, Masanobu Sakono, Yoichi Sakakibara, Masahito Suiko, Kazuo Nishiyama
  • 雑誌名: Journal of Oleo Science 巻: 62(11) ページ: 925-932
  • DOI: 10.5650/jos.62.925
  • 査読あり
• [雑誌論文] Jacaric acid is rapidly metabolized to conjugated linoleic acid in rats (2013)
  • 著者名/発表者名: Ryo Kijima, Taro Honma, Junya Ito, Masao Yamasaki, Aya Ikezaki, Chihiro Motonaga, Kazuo Nishiyama, and Tsuyoshi Tsuduki
  • 雑誌名: Journal of Oleo Science 巻: 62(5) ページ: 305-312
  • DOI: 10.5650/jos.62.305
  • 査読あり
• [雑誌論文] Genistein induces apoptotic cell death associated with inhibition of the NF-B pathway in adult T-cell leukemia cells (2013)
  • 著者名/発表者名: Masao Yamasaki, Yoshihiro Mine, Misato Nishimura, Satoshi Fujita, Yoichi Sakakibara, Masahito Suiko, Kazuhiro Morishita and Kazuo Nishiyama
  • 雑誌名: Cell Biology International 巻: 37 ページ: 742-747
  • DOI: 10.1002/cbin.10101
  • 査読あり
• [学会発表] ブルーベリー葉抽出物が脂肪細胞の機能に及ぼす影響 (2013)
  • 著者名/発表者名: 松山勇介、甲斐孝憲、亀長浩蔵、松浦靖、柚木崎千鶴子、西山和夫、山崎正夫
  • 学会等名: 平成25年度日本食品科学工学会西日本支部および日本栄養・食糧学会九州・沖縄支部合同大会
  • 発表場所: 福岡市
  • 年月日: 20131019-20131019
• [学会発表] 脂肪組織を標的としたγ-リノレン酸の抗炎症作用 (2013)
  • 著者名/発表者名: 中村崇弘、山崎正夫、西山和夫
  • 学会等名: 平成25年度日本食品科学工学会西日本支部および日本栄養・食糧学会九州・沖縄支部合同大会
  • 発表場所: 福岡市
  • 年月日: 20131019-20131019
• [学会発表] CordycepinによるLPS誘導性NO産生抑制効果 (2013)
  • 著者名/発表者名: 今村健太、浅井桃子、菅本和寛、松本朋子、山崎有美、亀井一郎、服部貴博、岸本正興、新坂誠司、西山和夫、山崎正夫
  • 学会等名: 第481回日本農芸化学会関西・中四国・西日本支部合同大会
  • 発表場所: 広島市
  • 年月日: 20130906-20130906
• [学会発表] 細胞接着分子integrinを標的としたα-リポ酸のガン細胞の浸潤・転移抑制 (2013)
  • 著者名/発表者名: 早田昌然、岩瀬将弘、榊原陽一、水光正仁、山崎正夫、西山和夫
  • 学会等名: 生物機能研究会
  • 発表場所: 熊本市
  • 年月日: 20130720-20130720