糊化後の粘度上昇が緩やかなデンプンを有する新規サツマイモの食品素材化を目指して、デンプンとその抽出残渣から調製されるペクチンの物理化学特性を調べた。緩慢糊化性デンプンは、イモ類では珍しい高アミロース性を示し、アミロペクチンの構造にも特殊性が認められた。また、これらのデンプンは、加熱糊化により食物繊維機能を持つレジスタントスターチ含量が増大し、一般デンプンとは異なっていた。一方、サツマイモペクチンでは、柑橘やリンゴペクチンと比べて、中性糖含量が高く、その組成ではアラビノースの割合が高いといった相違点を明らかにした。このように新規サツマイモは機能的なデンプンやペクチン素材を提供すると考えられた。
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