研究課題/領域番号 |
23580183
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
五十嵐 庸 順天堂大学, 医学部, 准教授 (00277815)
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研究分担者 |
長岡 功 順天堂大学, 医学部, 教授 (60164399)
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キーワード | グルコサミン / 軟骨細胞 / 軟骨代謝 |
研究概要 |
アミノ糖であるグルコサミン(GlcN)は、グリコサミノグリカンの構成成分として、生体内での軟骨グリコサミノグリカン合成に使われている。そのためGlcNは、加齢とともに関節の変形や運動障害を伴う変形性関節症に対する予防・治療に使用されている。このような背景から、軟骨代謝に及ぼすGlcNの作用がいままで研究されてきたが、軟骨細胞内での生化学的・分子生物学的な解析はほとんどなされていない。そこで軟骨細胞内におけるGlcNの機能を検討した。 その過程で、軟骨細胞におけるGlcNの新たな標的遺伝子としてサーチュイン(SIRT)1を同定した。SIRT1は、軟骨細胞においてグルコサミン添加後24時間でmRNAとタンパク質ともに発現が上昇することから、GlcNの新たな標的遺伝子であることが明らかとなった。また、ヒトにおいてはSIRT遺伝子は1~7の7種類の存在が知られているが、このGlcNによる発現上昇はほかのSIRT遺伝子にはみられない現象であり、SIRT1特異的であった。また、骨芽細胞のようなほかの細胞種ではSIRT1の発現上昇は見られなかった。 以上より、SIRT1はGlcN軟骨細胞特異的な標的遺伝子であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、グルコサミンの新たな標的遺伝子を同定するという大きな成果を上げることができた。しかも、軟骨細胞特異的な標的遺伝子であることが示唆された。このことは、学術分野のみならず、産業界に与えるインパクトも高いことが予想される。 この一部は、学会発表や特許出願を行った。また、研究分担者とも密に協議を行い、研究を遂行することができた。 これらは、当初の研究目的と照らし合わせて、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今回同定された標的遺伝子であるSIRT1がグルコサミンの直接的な標的遺伝子であるか間接的なものであるかを検討していく。また、SIRT1の軟骨細胞での機能も合わせて検討する。そのため、軟骨細胞での実験に注力する。
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次年度の研究費の使用計画 |
軟骨細胞での実験をおもに行うため、その培養のためや、機能解析などおもにin vitroでの解析に研究費の一部を使用する。 また、そこで得られた新たな知見は、学会発表などをおこない広く社会に発信する。そのための旅費などの出張経費にもあてる。 これらは、次年度に使用する予定の研究費で可能だと考える。
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