アミノ糖であるグルコサミンは、グリコサミノグリカンの構成成分として、生体内での軟骨グリコサミノグリカン合成に使われている。そのためグルコサミンは、加齢とともに関節の変形や運動障害を伴う変形性関節症に対する予防・治療に用いられている。このような背景から、軟骨代謝に及ぼすグルコサミンの作用が研究されてきたが、軟骨細胞内での分子生物学的な解析はほとんどなされていない。そこで、軟骨細胞内におけるグルコサミンの機能を検討した。 昨年度までに、軟骨細胞に対してグルコサミンを添加した時に、遺伝子発現の亢進する遺伝子を探索したところ、サーチュイン1遺伝子が候補として得られた。一方、グルコサミンの誘導体であるN-アセチルグルコサミンは、グルコサミンと構造が非常に近いにも関わらず、その作用機序や効果はグルコサミンと異なることが報告されている。そこで軟骨細胞におけるサーチュイン1遺伝子に対するN-アセチルグルコサミンの効果を、グルコサミンと比較検討した。その結果、N-アセチルグルコサミンはサーチュイン1遺伝子の発現は更新するものの、サーチュイン1タンパク質の量は変化させないことが明らかとなった。
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