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2012 年度 実施状況報告書

酸化ストレス制御転写因子を標的とした脂肪肝炎の発症機構の解明と食品成分による予防

研究課題

研究課題/領域番号 23580188
研究機関近畿大学

研究代表者

田中 裕滋  近畿大学, 医学部附属病院, 講師 (00465650)

研究分担者 上硲 俊法  近畿大学, 医学部附属病院, 教授 (20233934)
キーワード非アルコール性脂肪肝炎 / 酸化ストレス / Nrf2 / 鉄過剰蓄積
研究概要

非アルコール性脂肪肝炎の病態発症機序には脂肪肝患者において鉄の過剰蓄積などに由来する酸化ストレスとの関連性が指摘されている。酸化ストレス防御遺伝子群を制御する転写因子Nrf2が近年注目されている。我々は肝臓における鉄代謝と脂質代謝がNrf2により如何なる制御をうけているか解明するために7週齢雄性野生型(WT)およびNrf2欠損(KO)マウスに以下の4群の食餌 1) 4%大豆油食12週間(コントロール食群) 2) 4%大豆油食8週間の後、4%大豆油食+0.5%カルボニル鉄4週間(鉄添加食群) 3) 4%大豆油食+16%ラード食12週間(高脂肪食群) 4)高脂肪食8週間の後、高脂肪食+0.5%カルボニル鉄4週間(鉄添加高脂肪食群)を摂取させ12週目に肝及び血液を採取した。23年度は血液や肝内脂質の結果よりNrf2と脂質代謝や脂肪肝との関連性が認められ、一部のKOにおいて血中ビリルビン値上昇や組織学的に肝線維化を認めた。24年度は肝の鉄値、酸化ストレス、及び遺伝子発現量を測定した。肝内鉄値はWTに比してKOで増加傾向を認め、肝内MDA(酸化ストレスマーカー)はKO群間でコントロール群に比して鉄添加群、高脂肪食群、鉄添加高脂肪食群で増加を認めた。脂質代謝及び鉄代謝関連遺伝子発現量は、WT群では鉄添加高脂肪食群でβ酸化関連遺伝子、小腸からの鉄吸収調節遺伝子であるhepcidin、及び肝から血中への鉄排泄を担うferroportinの相加的な発現の増強を認めたが、KO群ではWT群で認められた発現の増加は認めなかった。KO群においては脂質代謝及び鉄代謝関連遺伝子の発現調節不全が認められ、おそらくこれらが肝内脂質及び鉄の増加傾向を引き起こし、更には一部のマウスに線維化が認められた一要因になっている可能性が考えられた。今後、食品に含まれるNrf2アゴニストの予防効果について検討する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り、野生型とNrf2欠損型のマウスの繁殖および実験食の負荷を行い血液生化学検査、肝内脂質、肝内鉄値、酸化ストレスマーカー、遺伝子発現定量、組織学的評価を行い、Nrf2欠損マウスにおける脂質代謝や鉄代謝に調節不全があり、そのため欠損マウスでは肝内の脂肪や鉄値の上昇を来たし、脂肪肝ないし脂肪肝炎様の変化を認めることが明らかとなった。現在、食品成分でNrf2のアゴニストであると考えられているワサビの成分で脂肪肝や脂肪肝炎が予防(抑制)できるか検討している。

今後の研究の推進方策

高脂肪食ないし鉄添加高脂肪食を負荷したNrf2野生型及び欠損マウスに、食品成分でNrf2アゴニストであるワサビの成分を投与し、今までの実験と同様に血液と肝臓の脂質定量、酸化ストレスのマーカー、及び脂質代謝、鉄代謝に関連する遺伝子の発現を定量する。

次年度の研究費の使用計画

肝内脂質や酸化ストレスのマーカー、及び遺伝子発現定量に必要な試薬や多検体を処理するための恒温槽を追加で購入する予定。また、研究成果の公表ないし発表のために投稿費や旅費等が必要となるかと考えられる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Dysregulated expression of fatty acid oxidation enzymes and iron-regulatory genes in livers of Nrf2-null mice2012

    • 著者名/発表者名
      Tanaka Y, Ikeda T, Yamamoto K, Ogawa H, Kamisako T.
    • 雑誌名

      Journal of Gastroenterology and Hepatology

      巻: 27 ページ: 1711-1717

    • DOI

      10.1111/j.1440-1746.2012.07180.x

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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