研究課題
桑葉は1-デオキシノジリマイシン(DNJ)と呼ばれるαグルコシダーゼ阻害剤(-GI)を含み、食後血糖値上昇を抑制し、糖尿病予防効果が期待される食材である。桑葉DNJが機能性食材として展開されるためには、その安全性と効能発現メカニズムを十分に科学的に検証する必要がある。本研究では、安定同位体15NでラベルしたDNJを作成し、DNJの吸収、蓄積、代謝、排出バランスを明らかにすることを目的とする。H23年度はDNJ生産能力の知られているBacillus属細菌(Bacillus amyloliquefaciens)を選抜し、DNJを培養上清あたり1g/L程度に安定して生産させる合成培地での培養条件を確定した。H24年度は安定同位体15Nラベルされた硫酸アンモニウムを唯一の窒素源とする合成培地にて20L培養した。これより10g を超えるDNJを精製し精製DNJを得た。本DNJはMS分析にて15NラベルされたDNJであることを確認した。H25年度はBacillus属細菌の培養液にはDNJの他、桑葉に含まれないアザ糖(DMJ、1-デオキシマンノノジリマイシン)および前駆体(2-アミノマンニトール)を含むことが判明したことから、DNJの単離を試みた。プロトンNMRを測定し、DNJのみの15Nラベル化DNJを得ることに成功した。研究代表者と分担者の異動等、予期せぬ事情により若干の遅れが生じたが、研究のオリジナリティーとなる実験に必要なラベル化DNJを得たこと、報文も3報得たことから十分な実績をあげることができた。今後はラベル化DNJを動物への投与を行い、DNJの吸収動態と安全性を詳細に評価する。
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Exp. Gerontol.
巻: 55C ページ: 63-69
10.1016/j.exger.2014.03.025.