研究課題/領域番号 |
23580193
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研究機関 | 椙山女学園大学 |
研究代表者 |
大口 健司 椙山女学園大学, 生活科学部, 准教授 (80359257)
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キーワード | フラボノイド / ポリメトキシフラボン / ノビレチン / 角化 / バリア機能 / 表皮細胞 |
研究概要 |
柑橘類にはNobiletin(ノビレチン)をはじめとするポリメトキシフラボノイドとよばれる機能性化合物が含まれており、我々はNobiletinにヒト表皮ケラチノサイトに対する強力な角化誘導作用があることを見出している。本研究課題は、Nobiletinの角化促進作用について、培養細胞系で構造活性相関解析を行うとともに、これら化合物の作用をモデル動物系で検証することを目的とする。初年度はポリメトキシフラボノイドの分子構造と角化誘導活性の関係を明らかにするため、Nobiletin、Sinensetin、Tangeretin等メトキシ基の数や位置が異なる化合物を用い、培養細胞系で構造活性相関解析を行った。 2年目である当該年度は、ヘアレスマウスを用いた表皮バリア機能障害モデルにおけるNobiletinの表皮機能再生効果(表皮バリア回復促進作用)をin vivoで検証することを試みた。表皮バリア回復へ与える影響を検証するためには、何からの方法により一過性に表皮バリアを破壊する必要がある。本研究では、テープストリッピング法(粘着テープを皮膚に貼り付け、それを剥がすことで角質細胞をテープに写しとる方法)によって、一過性に表皮バリア機能を低下させたモデル動物系を用いた。テープストリッピングによって破壊されたバリア能は経時的に自然回復するが、被験部位にNobiletinを塗布(外用)することにより、その回復速度が高まることを見出した。応用開発の観点からも角化をコントロールする機能性物質の創製に寄与する重要な知見が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、ポリメトキシフラボノイドの分子構造と角化誘導活性の関係を明らかにするため、メトキシ基の数や位置が異なるポリメトキシフラボノイドを用い、ヒト表皮ケラチノサイトにおいて構造活性相関解析を行った。本年度は、ポリメトキシフラボノイド(特にNobiletin)のin vivo系における作用検証を行うために、表皮バリア機能を低下させた実験動物モデル系を用いて、Nobiletinの表皮機能再生効果を実証した。3年間の研究期間のうち、2年が経過したが、当初の予定どおり進展している。
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今後の研究の推進方策 |
表皮ケラチノサイトの角化過程は、PI3K(phosphatidylinositol 3-kinase)、PKA(protein kinase A)、ERK(extracellular signal-regulated kinase)、p38MAPK(p38 MAP kinase)など、種々の細胞内シグナル伝達分子によって厳密にコントロールされている。各々のシグナル分子の活性化(リン酸化)や発現量に対するNobiletinの影響を、ウエスタンブロット法やリアルタイムqRT-PCR法を用いて詳細に調べていくことにより、Nobiletinのターゲットとなっているシグナル伝達経路を特定していく。さらに、siRNAや特異的阻害剤を用いて、Nobiletinのエフェクターとして角化のスイッチング機構に深く関与する分子を同定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
培養細胞系(ヒト表皮ケラチノサイト)を用いた生化学的実験に必要な消耗品費として使用する。
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