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2013 年度 実績報告書

多様な生態系機能を考慮した非皆伐による森林施業

研究課題

研究課題/領域番号 23580194
研究機関北海道大学

研究代表者

吉田 俊也  北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (60312401)

キーワード非皆伐施業 / 生態系管理 / 多面的機能 / 針広混交林 / シミュレーション
研究概要

本申請課題では、北海道北部の、択伐によって管理されている天然生林を対象として、1.森林の持つ複数の機能評価と、それらの森林の構造的な特性との関係を解明すること、2. 森林動態シミュレーションモデルの結果をもとに、量的・質的なガイドラインを含む森林管理モデルを提示することを目的とした。
1. 生物多様性の評価として、林床植生や森林棲鳥類に関する調査を進めた。それらと密接な関係を持つと考えられる森林の構造的な特性に注目すると、択伐林においては、下層植生の多様性や枯死木・樹洞(樹木内の腐朽)の量が、未施業の原生林に比べて少ない傾向が明らかになった。枯死木や樹洞、またそれらと密接に関わり、かつ木材生産上も重要な特性である樹木内の材の腐朽に関して、伐採を含む周辺環境の影響について明らかにした。一方、生態系炭素貯留の評価では、地上観測とリモートセンシング(航空機LiDAR測量と空中写真)を組み合わせ、長期的な変化を推定した。その結果、立木の蓄積を保つことができれば、択伐施業は炭素貯留の面で有効な施業方法になりうることが示された。
2. 本申請課題の中で構築してきたシミュレーションモデル(SORTIE/ND)に、上述の調査で新たに得られたパラメータ値の一部を取り込み、施業シナリオ分析を行なった。その結果、期首の林分構造および樹種組成を維持するためには、伐採の回帰年を長くして伐採量を少なくすることが避けられず、また小径木および針葉樹の伐採率を下げることが有効であることが明らかになった。そのような方法は、ある程度持続的に伐採量を確保できることから、長期的に見れば従来の方法より経済的に優れていると考えられた。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] An alternative management regime of selection cutting for sustaining stand structure of mixed forests of northern Japan - a simulation study2013

    • 著者名/発表者名
      Yasuda, A., Yoshida, T., Miya, H. and Harvey, B.
    • 雑誌名

      Journal of Forest Research

      巻: 18 ページ: 398-406

    • DOI

      10.1007/s10310-012-0362-1

    • 査読あり
  • [学会発表] 抜き伐りが繰り返し行われた天然生針広混交林の63年間の変化

    • 著者名/発表者名
      吉田俊也・坂井励・高橋廣行・高木健太郎
    • 学会等名
      第61回日本生態学会大会
    • 発表場所
      広島国際会議場(広島市)
  • [学会発表] ミズナラ実生の表層土壌攪乱地における空間分布と定着条件

    • 著者名/発表者名
      朝田一平・吉田俊也
    • 学会等名
      第61回日本生態学会大会
    • 発表場所
      広島国際会議場(広島市)
  • [学会発表] 北海道の天然生林における台風撹乱が引き起こした森林構造の変化に対する残存木の応答

    • 著者名/発表者名
      佐藤剛・吉田俊也
    • 学会等名
      第61回日本生態学会大会
    • 発表場所
      広島国際会議場(広島市)
  • [学会発表] 台風撹乱がリター供給を介して土壌窒素動態に及ぼす影響

    • 著者名/発表者名
      福澤加里部・吉田俊也・柴田英昭
    • 学会等名
      第61回日本生態学会大会
    • 発表場所
      広島国際会議場(広島市)
  • [学会発表] 択伐施業が残存木の材の腐朽の有無に及ぼす影響

    • 著者名/発表者名
      吉田俊也
    • 学会等名
      第125回日本森林学会大会
    • 発表場所
      大宮ソニックシティ(さいたま市)
  • [学会発表] 択伐施業による林分構造の変化が鳥類の生息環境に与える影響

    • 著者名/発表者名
      兵頭夏海・吉田俊也
    • 学会等名
      第125回日本森林学会大会
    • 発表場所
      大宮ソニックシティ(さいたま市)
  • [学会発表] 表土を残す地拵えがウダイカンバの定着と植生の回復に与える影響

    • 著者名/発表者名
      山崎遥・吉田俊也
    • 学会等名
      第125回日本森林学会大会
    • 発表場所
      大宮ソニックシティ(さいたま市)
  • [備考] 吉田俊也・研究室

    • URL

      http://forest.fsc.hokudai.ac.jp/~member/yoshida/

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公開日: 2015-05-28  

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