研究課題/領域番号 |
23580220
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
佐藤 重穂 独立行政法人森林総合研究所, 四国支所, グループ長 (10353707)
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研究分担者 |
関 伸一 独立行政法人森林総合研究所, 関西支所, 主任研究員 (50343801)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 生態学 / 動物 / 林学 / ソウシチョウ / 外来生物 / シカ |
研究概要 |
外来種であるソウシチョウの侵入によって在来鳥類群集へ及ぼされる影響がニホンジカの密度増加でどのように変化するか明らかにするために、当年度は近年シカの密度が増加した場所でソウシチョウと在来鳥類群集の生息密度調査を行うとともに、中国・四国・九州地方におけるソウシチョウの分布の現状について情報を収集してとりまとめた。2000年ごろにソウシチョウが定着し、その数年後にシカの密度が急激に増加した四国剣山系の天然林でソウシチョウと在来鳥類群集の調査を行った。ソウシチョウの密度はシカの増加前に比べて減少していたが、ソウシチョウと営巣ニッチェが重複する在来種ウグイスは密度が大きく低下していた。2000年代後半にソウシチョウが侵入した四国石鎚山系の天然林でソウシチョウの生息状況の調査をした結果、ソウシチョウの密度が高い複数の場所が確認され、ソウシチョウがこの山系に定着したものと判断した。1990年代にソウシチョウが定着した九州の山岳地において、シカ採食圧による下層植生衰退が顕著な地域と下層植生が残存する地域とでソウシチョウの生息密度調査を行った。その結果、下層植生衰退が顕著な地域ではソウシチョウでは生息密度が低めとなる傾向はあったものの、ルートによる差が大きかった。下層植生以外の林床環境の変化、下層植生衰退後の時間経過や、シカの不嗜好性植物の増加が影響している可能性が考えられ、今後、その要因を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、順調に研究を進めている。中国・四国・九州地方でのソウシチョウの現在の分布状況の概略を明らかにした。また、四国地方と九州地方のそれぞれ複数の箇所において、ソウシチョウの定着状況と在来鳥類群集の構造、およびニホンジカの生息状況を調査した。これらのことから、研究計画は順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
ニホンジカの密度増加の前後でソウシチョウと在来鳥類群集との関係を評価するために、過去の調査履歴があるソウシチョウ生息地で近年シカが増加した場所においてソウシチョウと在来鳥類の密度調査を行う。特に平成24年度は、20年前にシカが低密度でソウシチョウがすでに定着していた九州山地において、ソウシチョウおよび在来鳥類群集について生息状況調査を実施して、過去から現在への変化の実態を把握する。
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次年度の研究費の使用計画 |
野外調査のための消耗品や記録媒体を購入する。野外調査旅費、成果発表のための学会出席旅費を支出する。資料整理やデータ入力のため、研究補助者を雇用し、賃金を支払う。野外調査のために高速道路代やガソリン代を支出するほか、在勤地から遠方の野外調査ではレンタカーを利用するため、借用を支払う。
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