研究課題/領域番号 |
23580221
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
鹿島 潤 独立行政法人森林総合研究所, 林業工学研究領域, 室長 (60353637)
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研究分担者 |
興梠 克久 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (00403965)
鹿又 秀聡 独立行政法人森林総合研究所, 林業経営・政策研究領域, 主任研究員 (00353649)
都築 伸行 独立行政法人森林総合研究所, 林業経営・政策研究領域, 主任研究員 (00353772)
岡 勝 鹿児島大学, 農学部, 教授 (00353623)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 森林管理・政策 / チェーンソー用防護服 |
研究概要 |
作業員にチェーンソー用防護服を着用させることによる林業経営の効果を明らかにすることを目的として、導入・使用実態、災害発生と災害コストに関する調査、分析を行った。 事業体への導入は、事業体が購入し作業員に配付している場合が多いことが明らかになった。高知県では「労働環境改善事業」として、チェーンソー用防護服ほか安全防具の導入に補助を行っており、事業体によってはこうした都道府県レベルの補助金を活用し事業体の負担を軽くしている例もある。防護服を着用することで災害を免れた事例も多く収集でき、防護服が災害防止に貢献していることが明らかになったが、防護服の性能を維持させるための現場での使用・管理方法に問題のあることがわかり、長期間安全に使うための正しい使用・管理方法を周知させる必要のあることがわかった。また、破損に伴う防護服の廃棄は平均で約1年半であることがわかった。 災害発生事例とそれに伴う諸経費等についての調査では、個人情報に立ち入る場合があり子細な情報を得にくい場合のあることが調査の初期にわかり、事業体を絞り込んで調査項目、記載方法等調査様式の改善を繰り返した。現在、熊本県を中心に新しい調査票を配付し回収を行っている所である。この調査の結果を見て調査項目や記載方法の問題点があれば再度修正し、全国の広範囲調の事業体を対象とした調査票を24年度の早い時期に配布する準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
防護服導入経費の基礎資料となる耐用年数に関する調査では、使用実態、防護実績も含めて、廃棄に至る経緯の傾向が得られ、継続して調査を行い精度を高めていけば課題達成上の問題ない。災害に伴う経費に関する調査では、調査初期の調査方法の問題点を改善できたことで必要なデータ収集ができるようになった。あわせて、当初計画にはなかったまとまった数の個人への聞き取り調査もできることになったので、研究期間内にデータを集めとりまとめることが十分可能と考えている。その他、補助金制度の活用など、防護服導入にあたって事業体の負担を軽減する要素についても調査、検証を進めている。これらのことから、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
1)防護服の購入および使用に関する実態を明らかにするためのアンケート調査 アンケートについては、前年度に十分な数の回収ができなければ継続して実施する。 事業体に赴き、防護服購入に当たっての問題点等について聞き取り調査を行う。また、使用中および廃棄予定の防護服の検分を行うなど、アンケートでは拾えない使用・管理に関する詳細な情報を収集する。アンケート及び現地調査を踏まえ、購入及び現場への導入を円滑に行うための課題を整理すると共に、防護服を廃棄するに至る過程から現状における耐用年数を明らかにする。2)防護服導入による効果を明らかにするための調査 防護服導入の前後でチェーンソーの刃が当たる災害の発生件数、災害発生に伴う諸経費がどのように変化したかを明らかにする。これにより、防護服導入経費と災害発生後の諸経費との比較から、防護服導入による経営上の効果を明らかにする。また、防護服の導入により災害に伴う作業の中断回数、中断期間が変化したかを明らかにする。防護服の効果として被災を免れ、作業の中断が起きなかったことが明らかな事象を取り上げ、防護服が無く被災したと仮定した場合の作業中断に伴う事業収入の停滞を試算する。これにより、防護服導入が災害防止だけでなく、事業収入の面からも効果があることを明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
23年度は、アンケート発送経費が当初の予定に比べて大きく下回り、調査予定地にしていた福島県内への調査を震災の影響で延期したため繰り越しが生じた。24年度は、繰越金と申請時の24年度研究費をあわせて課題遂行にあたることとする。24年度研究費は、主として福島県、高知県をはじめとした各地での聞き取りによる災害コストに関連した調査旅費に使用する。また、調査データの整理、入力等のための人件費を使用する。その他、調査に伴うレンタカー、燃料等に使用する予定である。
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