研究課題/領域番号 |
23580221
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
鹿島 潤 独立行政法人森林総合研究所, 林業工学研究領域, 室長 (60353637)
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研究分担者 |
興梠 克久 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (00403965)
鹿又 秀聡 独立行政法人森林総合研究所, 林業経営・政策研究領域, 主任研究員 (00353649)
都築 伸行 独立行政法人森林総合研究所, 林業経営・政策研究領域, 主任研究員 (00353772)
岡 勝 鹿児島大学, 農学部, 教授 (00353623)
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キーワード | チェーンソー用防護服 |
研究概要 |
防護服の普及の現状、使用管理の実態を明らかにすることを目的として、事業体、林業労働者、防護服メーカーに対するアンケート調査および聞き取り調査を継続して行った。防護服の販売数から普及状況を推算した結果、チェーンソー作業者の少なくても1/3、多ければ半数近くが既に防護服の所有者となっていることが分かった。防護服を積極的に導入した事業体は、ケガが減少し防護服による災害コストの減少を実感している。しかし、防護服所有者の多くが森林組合など組織の大きな事業体に属し、個人事業主や小規模の事業体では依然として普及が進んでいない。その理由として、防護服購入経費が個人では負担しにくいことが上げられ、補助金制度の存在を知らないなど普及を促進させうる情報が十分に伝達されていない状況も一因となっている。したがって、林業界全体の災害コスト削減のためには、小規模事業体への普及を図る必要がある。防護服の使用年数はおおむね2年弱となり、防護服の破損で廃棄に至る要因と使用期間が判明したので、防護服の導入、更新経費を算定するパラメータが得られた。ただし、本来なら廃棄されるべき破損した防護服を使用して更新期間を延ばしている場合や、不適切な使用や管理で更新期間を短くしている場合の多いこともわかったので、正しい使用と管理による更新経費の削減を考慮していく必要がある。 災害発生に伴う諸経費については、個別の事例から算出することは困難と判断し、調査様式を変更した。ケガの程度、通院・入院日数の違いなどをパターン化して災害発生後の事務処理等にかかる人件費等から災害コストの一部を算出できるよう調査を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
防護服の使用実態を明らかにしたことで廃棄理由と更期間の現状が明らかにできたため、導入と更新に関わる事業体が負担する経費の算定パラメータは得られた。また、ケガによる休業日数など災害発生に伴う事業損失を算出するパラメータの基になる資料も得ることができた。これらについては当初の予定をおおむね達成している。しかし、災害発生後の事務経費については個別データを得ることが難しく調査方法の変更を余儀なくされデータ収集が遅れたため、年度計画を十分に達成することができずやや遅れた進捗状況となった。
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今後の研究の推進方策 |
災害発生に伴う諸経費については継続して調査を進め、ケガの程度、通院・入院日数の違いなどをパターン化して災害発生後の事務処理等にかかる人件費等の視点から災害コストの一部を明らかにする。その上で、すでに得ている資料にデータを追加、補正しながら、防護服による災害数減少効果および事務経費等の削減効果、災害発生に伴う事業損失等に関わる事項をパラメータとして使用し、防護服導入の有無の違いがもたらす経営上の負担の違いをシミュレーションする。これにより、防護服導入経費と災害発生後の諸経費との比較から、防護服導入による経営上の効果を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
データ収集方法の変更にともない、24年度に予定していた現地調査を延期したので、繰り越した調査費用と25年度研究費をあわせて課題遂行にあたることとする。25年度研究費は、災害発生にともなう事後処理経費調査のための費用とデータ処理のための人件費、成果発表のための学会参加旅費および学会誌印刷費等に使用する予定である。
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