研究課題
地下流水音探査によって、水みちの位置を明らかにした。そして、水みち上とそれ以外の場所の15年生ヒノキ林の樹高、直径などを比較した。結果として、水みち上に立地する樹木は、水みち以外の場所に立地するヒノキよりも成長がよく、樹高も直径も大きいことが明らかとなった。また、調査した樹木が幼齢であるため、幼齢林の林床に残存している伐採されたヒノキ切株(60年生)から円盤を100枚採取し、年輪解析を行った。結果として、水みち上に位置するヒノキは、水みち上に位置しないヒノキよりも、植栽直後より成長がよく、この傾向は60年後も続いていることが明らかとなった。これらの樹木の特徴より、一斉林の場合、周囲に比較して樹木の成長のよい場所は、地下に水みちがある場合が多いと考えられた。現地において樹木の成長量の差異から地下の水分状態を推定する参考になることが明らかとなった。次に、林齢の異なるスギ・ヒノキ人工林において高密度のレーザー測量を行い、樹高を推定し、樹高の高い林分と地形の関係を比較した。結果として、崩壊の発生しやすい0次谷や地すべり地形、断層地形などの一部で、周囲に比較して樹高が高く、地下水が豊富である場所を抽出することができた。本研究によって、山地の広域において樹高を指標として崩壊発生に関与する地下水の豊富な場所を推定できることが明らかとなった。今後は、さまざまな地質などで本研究と同様の知見が得られるか確認するとともに、地形・地質の特徴と典型的な地下水の分布を類型化、崩壊危険地の予測精度を向上させるための研究が必要と考えられた。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)
砂防学会誌
巻: Vol.65,No.5 ページ: 58-64
平成24年度(社)地すべり学会関西支部シンポジウム論文集
巻: 表層崩壊予測の可能性 ページ: p.49-66