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2012 年度 実施状況報告書

広葉樹の道管相互壁孔に常在する抽出成分の同定と通水への影響解析

研究課題

研究課題/領域番号 23580223
研究機関北海道大学

研究代表者

佐野 雄三  北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (90226043)

研究分担者 幸田 圭一  北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (80322840)
キーワード広葉樹 / 道管 / 壁孔 / 抽出成分 / 通水
研究概要

本課題の目的は、一部の広葉樹において水分通導に寄与する辺材部の道管相互間の壁孔壁に常在する抽出成分について、(1)その化学組成を解明すること、(2)どのような植物群に存在するのかを明らかにすること、(3)立木木部内における通水制御にどのように関与しているかを解明すること、である。項目(1)に関しては、前年度までに得られた知見に基づき、シラカンバを材料として実験を進めた。心材が形成されていない若齢木を伐採し、二次木部より長さ10 ㎝の小材片を多数採取して凍結乾燥の後、切削時の摩擦熱による成分の変性を防ぐために機械によらず手作業によりチップ化した。現在、ヘキサン画分から単離を試みている。項目(2)に関しては、ヤナギ科、カバノキ科、モクセイ科、ブナ科の数群を対象として、抽出成分の存否を、エタノールによる溶媒置換乾燥した試料と未抽出で凍結乾燥した試料を走査電子顕微鏡的に比較することにより調べた。その結果、道管相互壁孔における抽出成分の存否は、属内で一致し、おそらく科レベルの特徴であることが示唆された。さらに、この抽出成分は道管相互壁孔に限らず、道管壁の内腔側表面、放射柔細胞内にも存在し、せん孔板に液滴状に凝集していることもあることが明らかになった。項目(3)に関しては、重力を利用して試験体を装着した配管内に圧力差を与えて透水度を計測する実験装置を新たにカスタムメイドで組み上げ、抽出処理の前後間での透水度の比較を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

3つの検討項目のうち、成分分析が遅れている。分析に必要な大量の試料の準備を手作業で行う必要があったため、および非常に多種の雑多な成分から目的物質を特定するのが難しったためである。組織化学的方法も併用して候補物質を絞り込む必要がある。

今後の研究の推進方策

成分の組成に関しては、選択性の高い組織化学的方法により目的物質を標識し、光学顕微鏡的に可視化することを試みる。この結果に基づいて抽出~分離した成分の中から候補物質を絞り込むことにより、組成分析を効率的に進めることが期待できる。また、樹木の二次木部細胞壁の微細構造や機能に興味をもつ学部の専攻生1名が卒業研究として本課題の一部を行うことになった。現況ではやや遅れているが、その挽回に貢献してくれることが期待される。

次年度の研究費の使用計画

化学分析に必要な試薬類・消耗品・機器使用料、顕微鏡関係の道具・試薬類・機器使用料、透水性解析用の器具・消耗品類・ソフトウェアのために使用する。また、研究試料の採取、成果発表の旅費にも費やす予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Homoplastic occurrence of perforated pit membranes and torus-bearing pit membranes in ancestral angiosperms as observed by field-emission scanning electron microscopy2013

    • 著者名/発表者名
      Sano Y., Utsumi Y., Nakada R.
    • 雑誌名

      Journal of Wood Science

      巻: 59 ページ: 95-103

    • DOI

      DOI 10.1007/s10086-012-1304-4

    • 査読あり
  • [学会発表] 日本産トネリコ属木材の解剖学的特徴の種間差2013

    • 著者名/発表者名
      野末尚希、佐野雄三(発表者)
    • 学会等名
      第63回日本木材学会大会
    • 発表場所
      岩手大学(盛岡)
    • 年月日
      20130327-20130329

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公開日: 2014-07-24  

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