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2012 年度 実施状況報告書

細胞培養の三次元足場材料としてのセルロースヒドロゲル

研究課題

研究課題/領域番号 23580226
研究機関東京大学

研究代表者

和田 昌久  東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (40270897)

キーワードセルロース / ヒドロゲル / 孔径制御 / 圧縮試験 / 細胞足場材料
研究概要

臭化リチウム水溶液(60 wt%)に無灰パルプを懸濁し、120℃にて20分加熱することによりセルロース溶液を調製した。そこへあらかじめサイズを分級した塩化ナトリウム粒子を飽和濃度以上に加えた。撹拌後、所定の型に流し込んで冷却することによりゲルを得た。そして、このゲルを水洗することで臭化リチウムと塩化ナトリウムを溶かしだし、セルロースヒドロゲルを調製し、細胞足場材料としての特性解析を行った。
調製したセルロースヒドロゲルの水分率は高く、およそ99%であった。塩化ナトリウム粒子の分級によって均一かつ大孔径(100 μm以上の孔径)を有するゲルが調製でき、塩化ナトリウム粒子のサイズによって孔径を制御することができた。また、細胞増殖に不可欠な連結孔が存在していることが明らかになった。さらに、このゲル調製のプロセスにおいてセルロースの重合度はほとんど低下しないことが確かめられ、ヒドロゲルの力学試験の結果からおよそ200~300 kPaの圧縮弾性率を有していることが分かった。以上の結果から、このセルロースヒドロゲルは細胞足場材料としての性質、I) 細胞が成長するための大孔径、II) 養分や老廃物を輸送するための三次元的なつながり(連結孔)、III) 適切な力学強度を備えていることが明らかになった。
細胞足場材料として不可欠なその他の因子として細胞との接着性がある。そこで、接着性を向上させるために、アミノ基(カチオン)を有するキトサンをセルロースヒドロゲルの表面に導入することを検討した。そして、過ヨウ素酸酸化とシッフ塩基反応により、ゲル表面にキトサンを導入する手法を確立した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初提案した従来法よりも孔径の制御されたセルロースヒドロゲル調製方法を確立し、そのゲルが細胞足場材料として相応しい特性を有していることを明らかにすることができた。また、細胞接着性を向上させるためにセルロースヒドロゲルの内孔表面にキトサンを導入する手法を確立できた。さらに、CO2インキュベータを使用した細胞培養の予備実験もすでに行っていることから、当該研究は概ね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

平成24年度に引き続き、軟骨細胞をセルロースヒドロゲルにて培養し、細胞成長を顕微鏡で観察する。そして、ヒドロゲルの孔径と細胞成長の関係、ヒドロゲルへのカチオン基導入と細胞成長の関係について解析する。
以上の成果を取りまとめ、セルロースヒドロゲルが細胞培養の三次元足場材料としての適用可能であるかを評価する。

次年度の研究費の使用計画

設備備品の購入は予定していない。消耗品費として、細胞と細胞培養試薬等を購入する、また、研究討議のため海外研究協力者を訪問することを検討している。

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公開日: 2014-07-24  

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