研究概要 |
エストロゲン様活性を有するとされているベンゾフェノン系紫外線吸収剤(4種)をリグニン分解酵素で処理した。その結果、2,3,4-Trihydroxybenzophenone(THBP)はMnP、LacおよびLac-HBT処理のいずれにおいても処理30分間で速やかに除去された。2,2’-Dihydroxy-4-methoxybenzophenone(BP-8)は、Lac単独処理では反応24時間後に57%の残存がみられたが、Lac-HBT処理では処理4時間、MnP処理では処理8時間で完全な消失が確認された。一方、2,4-Dihydroxybenzophenone(BP-1)と2-Hydroxy-4-methoxybenzophenone(BP-3)については、Lac単独処理による減少はほとんど認められず、反応24時間後のMnP処理でもそれぞれ55 %と16%の除去にとどまった。これに対して、Lac-HBT処理ではBP-1とBP-3の除去率が大幅に向上し、両者とも反応8時間で90% 以上、反応24時間では完全な除去が認められた。 次に、Two-hybrid法を用いてBP-1、BP-3、BP-8およびTHBPのβ-ガラクトシダーゼ活性(エストロゲン様活性の指標)を測定し、ビスフェノールA(BPA)の活性と比較したところ、BP-1は0.1 mMにおいてBPAよりも約1.5倍高いエストロゲン様活性を有しており、THBPはBPAの約1/2のエストロゲン様活性を示した。そこで、BP-1とTHBPを取り上げ、Lac-HBT処理によるエストロゲン様活性の除去効果を確認した。その結果、THBPは30分間のLac-HBT処理によってエストロゲン様活性が完全に除去され、BP-1についても処理24時間後に約90%のエストロゲン様活性が除去された。
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