研究実績の概要 |
シアノエチルセルロース(CyEC)はN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)中でリオトロピック液晶性を示すことが知られており,これまでに濃度,剪断速度,ならびに静磁場が分子配向性に与える影響が調べられている(Brestkin 1986; Vshivkov 2007, 2008)。26年度は,前年度までに取り上げたCyECとその誘導体の熱延伸以外のプロセッシング法として,液晶試料への剪断印加による配向性付与と誘電特性への影響を調べた。 液晶試料への剪断印加により,熱延伸の場合と同様に分子とセグメントが配向している様子が,赤外二色比測定やX線回折により確認された。 続いて,as-castフィルム,液晶を熟成させてからキャストしたフィルム,液晶溶液に剪断印加後キャストしたフィルムについて,誘電特性を比較した。その結果,液晶状態を経ることそれ自体により誘電率が向上した。また液晶溶液の剪断印加によっても,誘電率が増大した。したがって,熱延伸ばかりでなく,液晶形成・剪断によっても,CyECとその誘導体の誘電率を制御・向上できることが明らかとなった。
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