研究概要 |
石油分解菌を担持した浄化材を用いて高濃度石油汚染土壌の浄化について検討し、以下の結果を得た。 (1)数種の分解菌の組み合わせ処理により高濃度原油(A重油、C重油、アスファルト)汚染土壌(1000~30000ppm)を浄化(30日処理、各々95~68%、89~58%、95~68%)できることを見出した。しかし、処理日数がそれよりも増加しても浄化率は10%程度増加するのみであった。(2)土壌中の分解菌の活力を高め、分解菌が産出する酵素生産量を高めるため、栄養源の添加について検討した。一種の栄養源の添加により、培養日数が増加しても、酵素活性は低下せず、浄化率も約110~120%向上することを見出した。また、定期的に栄養源を添加すると、分解率はさらに向上することも見出した。(3)分解菌の組合せによっては、単独の分解菌処理よりも分解率が低下することも見出した。 (4)浄化時の石油成分の動態についても検討し、原油(A重油、C重油、アスファルト)中の各成分、脂肪族炭化水素部、芳香族炭化水素部、NSO部、アスファルテン部は培養期間が長くなる程、分解率が増加することを見出した。しかし、アスファルテン部の分解率は他成分のそれらよりも低い分解率であった。また、(5)石油分解菌を用いる原油汚染土壌の浄化処理における土壌の種類による影響についても調べた結果、砂質土壌でも水田土壌でも汚染浄化ができることを見出した。また、弱塩基性の海岸原油(C重油,1000ppm)土壌でも浄化率(約35~60%、60日処理)は低いものの浄化できることを見出した。 これらの結果から、選抜した石油分解菌を組み合わせて浄化することにより、高濃度原油汚染土壌(弱酸土壌の汚染)を浄化できる方法を見出すとともに、栄養源添加により浄化時間が長くなっても浄化率が低下しない方法も明らかにした。そして、石油分解菌を担持した浄化材を用いる高濃度原油汚染土壌浄化法を開発した。
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