研究課題/領域番号 |
23580231
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
内海 泰弘 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (50346839)
|
研究分担者 |
古賀 信也 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20215213)
|
キーワード | 植物民俗 / 木材材質 / 椎葉村 / インフォーマント |
研究概要 |
本研究では地域で受け継がれてきた樹木(木材)利用に関する民俗知の自然科学的評価,特に定性的な木材材質に関する伝承を材質学的手法で定量的に検討することを目的としている.そのために,地域固有の植物利用が現在でも行われ,植物民俗情報の蓄積が進んでいる宮崎県椎葉村を主な調査対象地域とし,植物民俗に精通した複数の年長者の方(インフォーマント)から24年度に加えて50種の樹木の利用法と定性的な材質に関する聞き取り調査を行った.同時にインフォーマントが利用ないし保存していた民具の記載,聞き取りを行い,樹木利用の民俗知が伝統的な生活の中でどのように位置づけられていたかを検討した. 次いで,24年度に検討した材質の評価法に基づき,FACOPP等を用いた非破壊的な手法を用いて,伝統的な利用が図られてきた樹種の解析を進めた. 加えて既存の材質データの整理を進め,材質データベースの整備を行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度に引き続いて複数のインフォーマントからの聞き取り調査を行い,個々の調査者間での民俗知にばらつきがあることを明らかにした.これは既存の調査に多く認められる単独,あるいは少人数のデータでは,各データの個性を慎重に検討すべきであることを示唆している. 材質学的評価については,非破壊的手法を主として,前年度よりサンプル数を増やして解析を行い,いくつかの種で材質評価を行った.ただし作業量が膨大になるため,多数の樹種の網羅的解析は未完了である. 既往の樹木材質学的データを精査し,各材質特性ごとに項目を抽出し,整理した.
|
今後の研究の推進方策 |
24年度と同様にインフォーマントへの聞き取り調査を継続し,より多数の樹種の利用法を複数名から聞き取り,精度の高い民俗知の収集を行う.また,材質試験の解析を多数の樹種に適応し,民俗知の解析結果を照合して投稿論文を作成する.また蓄積された上記データと24年度に整備した既往の材質データを整理し,民俗木材データベースを構築する.
|
次年度の研究費の使用計画 |
材質解析試験を行う際に必要となる機器と消耗品の費用,ならびにデータベース構築に用いるパソコン関連の消耗品の費用として物品費を計上する.また調査および学会参加のための費用として旅費を,データベース入力と聞き取り調査時の謝礼として人件費・謝金を計上する.試料の輸送費や論文投稿料をその他に含める.
|