研究概要 |
本研究では地域で受け継がれてきた樹木(木材)利用に関する民俗知の自然科学的評価,特に定性的な木材材質に関する伝承を材質学的手法で定量的に検討することを目的としている.そのために,地域固有の植物利用が現在でも行われ,植物民俗情報の蓄積が進んでいる宮崎県椎葉村を主な調査対象地域とし,植物民俗に精通した複数の年長者の方(インフォーマント)から24,25年度に加えて50種の樹木およびつる性木本植物の利用法と定性的な材質に関する聞き取り調査を行った.同時にインフォーマントが利用ないし保存していた民具の聞き取り調査を25年度に引き継いで行い,33種の民具の形状,用途,材質,製造法についてとりまとめ,論文として公表した.次いで,24年度に検討した材質の評価法に基づき,FACOPP等を用いた非破壊的な手法と広く行われている破壊的手法の整合性について検討し,伝統的な利用が図られてきた樹種の解析を25年度に引き続いて行った.
|