研究課題/領域番号 |
23580238
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
大平 辰朗 独立行政法人森林総合研究所, バイオマス化学研究領域, 室長 (40353619)
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研究分担者 |
松井 直之 独立行政法人森林総合研究所, バイオマス化学研究領域, 主任研究員 (80353853)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 粒子状物質 / テルペン類 / 二酸化窒素 |
研究概要 |
精油成分により二酸化窒素が捕捉・除去される機構を解明するために、生成する微粒子状物質の生成挙動についてエアロゾル質量分析装置による分析を実施し、また生成するガス状物質の生成挙動についてプロトン移動反応質量分析装置による分析を実施した。その結果、二酸化窒素の除去活性の高いミルセン、γ-テルピネン、テルピノレンとの反応生成物については、(1)ガス状物質としては有機ニトロ化合物が検出され、有機硝酸塩が生成していないこと、(2)二酸化窒素は供試物質に取り込まれて除去されていること、(3)粒子生成はテルペンとの反応が引き金になっていること、(4)反応中間体は生成後速やかに蒸気圧が低くなり、粒子状物質としてしか存在しえないことがわかった。また粒子を形成している化合物の時間的変化は少なく、その構造は一端、微粒子状物質が生成した段階で、安定した状態にあり、また簡単な組成ではないかと推察された。さらに二酸化窒素除去活性の高いテルペン類が核となり生成する粒子状物質の生成は極めて速やかであり、粒子径は最大で1ミクロン以上に成長することも明らかになった。このことからテルペン類の二酸化窒素の捕捉機構としては、テルペン類が核となり、最大で1ミクロン程度の粒子を形成し、捕捉されることが確認された。一方、二酸化窒素の除去活性の低いα-ピネンやリモネンでは瞬時には粒子状物質は生成せず、生成した粒子状物質の粒径も小さいことがわかった。これらの成果は、精油成分による新規な二酸化窒素除去方法の開発のための基礎基盤の確立に役立つものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
精油成分による二酸化窒素の捕捉・除去機構に関する知見として、ガス状物質としては有機ニトロ化合物、有機硝酸塩が生成していないこと、二酸化窒素はミルセンに取り込まれて除去されていること、粒子生成はテルペンとの反応が引き金になっていること、反応中間体は生成後速やかに蒸気圧が低くなり、粒子状物質としてしか存在しえないことがわかった。また粒子を形成している化合物の時間的変化は少なく、その構造は一端、粒子状物質が生成した段階で、安定した状態にあり、また簡単な組成ではないなどの知見を新たなに得ることができた。研究計画では生成要因の解明を中心としてあったが、予算措置の遅れ等を鑑み、次年度予定していた生成した粒子状物質の化学構造解明を優先して実施した。以上のことからおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
粒子状物質の生成要因(気温、光など)を特定する。粒子状物質の化学構造については、二酸化窒素除去活性の高い他のテルペン類を用いて粒子を生成させ、その化学構造に関する情報を蓄積する。これらの知見を基に、精油成分による二酸化窒素捕捉・除去機構を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
得られた成果を学会等で発表するため、国内旅費を負担する。粒子状物質の化学的特性については、引き続き他のテルペン種との反応生成物についてエアロゾル質量分析やプロトン移動反応質量分析を実施し、情報を蓄積するため、エアロゾル質量分析装置やプロトン移動反応質量分析装置のレンタル費を負担する。検知管等の消耗品費、分析依頼費などを負担する。
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