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2012 年度 実施状況報告書

サケ類における母川刷込関連脳領域の解明:嗅神経一次投射領域の神経解剖学的解析

研究課題

研究課題/領域番号 23580241
研究機関北海道大学

研究代表者

工藤 秀明  北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 准教授 (40289575)

キーワード母川回帰 / サケ属魚類 / 嗅神経系 / 形態学 / 神経解剖学
研究概要

本研究は,研究実施計画に沿って,サケ類の母川刷込に強く関わる脳領域を明らかにするために,サケ類の降河時および母川遡上時の各嗅板からの嗅細胞軸索を可視化することにより,嗅球における嗅神経一次投射領域を神経解剖学的に解析し,その詳細な脳地図の作成を目指すものである。前年度に浮上後まもなく降海し,遡上は産卵期に近いシロザケ (Oncorhynchus keta) 幼稚魚を用い,カルボシアニン系蛍光色素の一種である 1,1’-dioctadecyl-3,3,3’,3’-tetramethylindo carbocyanin perchrorate (DiI) により死後標識により母川刷込時に形成されている嗅神経系の神経回路を可視化できたことから,2年目である本年度は,シロザケに比べおよそ1年間長く河川に留まり,翌年の幼魚期に降河するサクラマス (O. masou) の解析に着手した。サクラマスの母川刷込時と推定される銀化変態が5月に盛期になることから、その前後を含む3月から6月のサクラマス幼魚孵化場個体について月1回採集を行った。DiIによる嗅神経一次投射領域の分析に先立ち,銀化変態に伴う嗅神経系の発達に関する情報がこれまでに無いことから,嗅房中の嗅板数の計数,嗅細胞数および嗅上皮表面における嗅細胞の密度を走査型および透過型電子顕微鏡を用いて分析した。片側嗅板数は11枚から16枚へと増加し,シロザケ嗅房より2~3倍であることが明らかとなった。嗅房の発達に伴い嗅細胞数も増加していたが,密度については大きな変化が認められなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度着手したサクラマスについては、本研究を進める上で平行して行っていたより基礎的なテーマを担当していた学生が転出し、本課題においてもサクラマスの嗅神経系の基礎的知見の集積を行うことが必要となったため、少々遅れが生じている。

今後の研究の推進方策

遅れているサクラマスの解析を終え、最終年度については、シロザケの比較と、より詳細な投射領域の解析、並びに嗅細胞の種類を特定する分子マーカーを用いた、細胞種レベルの投射状態を明らかにし、まとめる準備を行う。

次年度の研究費の使用計画

13万円強の次年度への使用を行う研究費は、遅れている解析に用いる試薬類の予算であり、次年度に速やかに使用する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] ミトコンドリアDNA分析によるカラフトマス Oncorhynchus gorbuscha 集団構造の年級群間比較2012

    • 著者名/発表者名
      山田綾, 越野陽介, 工藤秀明, 阿部周一, 荒井克俊, 帰山雅秀
    • 雑誌名

      日本水産学会誌

      巻: 78 ページ: 973-975

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ミトコンドリアDNA分析に基づく本州日本海シロザケ Oncorhynchus keta 集団に及ぼす移植放流の遺伝的影響2012

    • 著者名/発表者名
      永井愛梨, 山田綾, 秦玉雪, Edpalina RR, 工藤秀明, 阿部周一, 帰山雅秀
    • 雑誌名

      水産育種

      巻: 42 ページ: 33-40

    • 査読あり
  • [学会発表] Expression of thyroid hormone receptor in the salmon olfactory epithelium

    • 著者名/発表者名
      Kudo H., Eto A., Mochida K., and Kaeriyama M.
    • 学会等名
      XVI International Symposium on Olfaction and Taste
    • 発表場所
      Stockholm Waterfront (Sweden)
  • [学会発表] カラフトマス (Oncorhynchus gorbuscha) 雄における背隆起の生化学的性状および雄性ホルモンとの関連

    • 著者名/発表者名
      薄 健太・工藤秀明・井尻成保・市村政樹・都木靖彰・帰山雅秀
    • 学会等名
      第6回サケ学研究会
    • 発表場所
      北海道大学函館キャンパス(函館市)
  • [学会発表] カラフトマス雄の第二次性徴として発達する背隆起に関する組織化学的および生化学的研究

    • 著者名/発表者名
      薄 健太・工藤秀明・井尻成保・都木靖彰・足立伸次・今野久仁彦・帰山雅秀
    • 学会等名
      平成25年度に本水産学会春季大会
    • 発表場所
      東京海洋大学品川キャンパス(東京都)

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公開日: 2014-07-24  

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