研究課題
最終年度(25年度)の大きな成果としては、(1):In vivoにおけるマガキ体表面粘液の抗菌活性の検討と(2):体表面粘液産生量が大きく異なる二枚貝種における抗菌活性の比較の2つの課題に結果を得たことが挙げられる。最初に、(1)については、マガキ外套腔内で一定時間反応させた後、回収された細菌懸濁液の生菌数は、接種1時間後の段階で大きく低下していた。これはMicrococcus、Vibrioとも同様であった。この生菌数の減少はすべてが死滅によるものとするには、減少率も減少速度も早すぎると考えられたことから、外套膜や鰓の付着を調べることとした。その結果、特に鰓に多くの細菌が付着・生残していることがわかった。しかし、この生菌数を考慮しても最初に接種した細菌数を大きく下回ることから、外套腔内および組織表面で細菌は死滅した、言い換えれば外套腔内には強い抗菌活性のあることが示された。(2)については、粘液の分泌量が大きく異なるヒオウギガイとアカガイにおいて、リゾチーム活性を測定した結果、酸性条件下においてヒオウギガイ粘液はマガキ粘液の5倍以上という極めて高い活性を示した。しかし、pH8.0の海水中ではほとんど活性はみられなかった。一方、抗菌活性については、Vibrioに対して海水中でも高い活性を示した。Micrococcusに対してはまったく活性がみられなかったことから、ヒオウギガイ体表面粘液はグラム陰性菌に対する抗菌因子を含むと考えられた。アカガイについては、粘液量が非常に少なく明確な結果を得ることができなかった。アカガイの血リンパには高いリゾチーム活性が検出されているので、体表面以外の場所か、あるいは粘液以外のものを使ってか等、抗菌のしくみについてさらに検討する必要がある。研究全体を通してみた場合、多くの点で当初計画に近い成果が得られたと考えられる。
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