研究実績の概要 |
本研究では、比較ゲノム解析を基に魚類での汎用性の高い遺伝子マーカーセットを機能性遺伝子配列上に設計する。新規モデルとし てマングローブ・キリフィッシュKryptolebias marmoratus(以下Km) を用いる。Km は自家受精で殖える唯一の脊椎動物であり,各系 統は自然の近交系である。そこでKm 雑種より迅速な複数系統の樹立をおこなう。これらを用いKm の遺伝地図を作成し、養殖に大事な 形質のQTL 解析をおこなう。さらに最終的には選抜育種へと展開することを目的とし,数種の有用養殖魚種でこのマーカーセットの適 用性とQTL 解析の汎用性を検討する。 方法としては1)さまざまな魚類ゲノム情報をもとにCAPS マーカー用primer set を設計し、二つのKm 親系統でPCR 増幅する。塩 基配列より多型を検出した後、使用する制限酵素を検討する。2)既に確立されている形質の異なる2 系統と,その雑種ヘテロ個体由 来の個体を10 世代以上個別飼育し,全個体の形質の遺伝様式を明らかにし,高成長かつ攻撃性の低い家系,すなわち養殖に適した形 質を持つ家系を確立する。3)1と2を用いQTL 解析を行なう。さらに4)有用養殖魚種においてCAPS マーカーセットがどの程度汎 用性を示すか検討する。 平成26年度は25年度に引き続き、上記の1)と2)を行なった。2)では着実に継代を重ね、検定用の家系が確立されてきた。1)では25年度におこなった上記2系統とそのF2個体のDNAをもちいた次世代シークエンサーによるRAD sequencingの結果の解析が進み、高密度tagを持つ遺伝連鎖地図が完成した。総計9214tagが24の連鎖群にマップされ、遺伝距離の総計は1249cMであった。今後の育種におけるRAD sequencingの有用性が明らかになったと言える。
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